米Appleが同社の特許を侵害する韓国Samsung Electronics製モバイルデバイスの販売差止を求めていた訴訟で、米ワシントンD.C.の米連邦控訴裁判所はAppleの主張を支持する判決を現地時間2015年9月17日に下したと、複数の海外メディア(米TechCrunch英Reutersなど)が報じた。

 AppleとSamsungはモバイル関連の特許を巡り、長年にわたって複数の訴訟を繰り広げている。Appleが昨年3月末にSamsungを相手取って起こした訴訟(関連記事:Apple、Samsungにモバイル特許侵害の損害賠償約22億ドルを請求)では、「iPhone」のオートコンプリート機能、スライド式ロック解除(slide-to-unlock)機能、データタッピング機能に関するAppleの3つの特許をSamsungが侵害したと連邦地方裁判所は判断。昨年5月、Samsungに約1億2000万ドルの損害賠償支払いが命じられたが、Appleが求めていた賠償額には遠く及ばなかった。

 Appleは賠償金の支払いだけでは不十分だとして一部Samsung製品の販売差止を求めたが、「Appleは、Samsung製品の販売を禁じなければ修復不可能な損害を受けることを証明できていない」として、昨年8月、この要求は棄却された(関連記事:AppleによるSamsung製品販売差止要求、今回も認められず)。Appleはこの判断を不服として上訴していた。

 今回、控訴裁は「Appleの特許を侵害しているSamsung製スマートフォンは米国での販売を禁じられるべき」として、地裁に審理を差し戻した。

 控訴裁の判決について一部の米メディア(米CNETなど)は、特許保持者が簡単に競合製品に対する販売差止命令を獲得できるようになってしまい、交渉の際などで特許保持者に不当な権威を与えかねないと懸念している。一方で、対象となるSamsung製スマートフォンは2012年にリリースされた「Galaxy S3」までの古いモデルであることから、Samsungにとってたいした痛手にならないと米ABC Newsは伝えている。