米カリフォルニア州北部の連邦地方裁判所は現地時間2014年8月27日に、米Appleが申し立てていた韓国Samsung Electronicsの一部製品に対する販売差止の要求を退けたと、複数の海外メディア(英Reuters米Wall Street Journalなど)が報じた。

 AppleはSamsungとの特許侵害訴訟で、今年5月初めに下された評決にもとづいて、Apple特許を侵害しているSamsungの一部スマートフォンおよびタブレット端末の販売禁止を命じるよう裁判所に求めていた。地裁はSamsungがAppleの3件の特許を侵害したことを認め、約1億2000万ドルの損害賠償の支払いを命じたが、Appleが要求していた22億ドルにはるか及ばず、Appleは「損害賠償だけでは不十分」としていた。

 Apple関連の情報サイト「AppleInsider」によると、同評決では、AppleもSamsungの特許1件を侵害したとして15万8000ドルの支払いを命じられている。

 文書共有サイト「Scribd」で公開された資料によると、今回、同地裁のLucy Koh判事はAppleの販売差止請求を退けた理由として、「Appleは、Samsung製品の差止命令が施行されなければ、Appleのイノベーターとしての名声と信用が修復不可能な損害を受けるという主張を証明できていない」と述べた。

 Appleの販売差止請求が退けられるのは今回が初めてではない。同地裁が2012年8月にSamsungによるApple特許の侵害を認めて10億5000万ドル(その後の見直しで約9億3000万ドルに減額)の損害賠償支払いを命じた際も、Appleは一部Samsung製品の恒久的差止を求めたが、今年3月に棄却された(関連記事:AppleによるSamsung製スマホの販売差止要求、地裁が棄却)。

 なお、AppleとSamsungは今月、両社間で争われている特許訴訟について、米国外でのすべての訴えを取り下げることで合意したことを発表している(関連記事:AppleとSamsung、米国外のすべての特許訴訟取り下げで合意)。