ソニーと日経BPは2015年8月31日、大阪市の交流拠点である大阪イノベーションハブで、「Smart eXperience Lab Forum 2015 vol.2」を開催した(写真1)。SXLabとは、ソニーと日経BPが共同運営するバーチャルラボで、ソニーと外部のサービス事業者(サードパーティ)とのコラボレーションを加速させ、新しいビジネスの創出を支援するプロジェクトのこと。今年7月21日に東京で「Smart eXperience Lab Forum 2015 vol.1」が開催され(ソニーがサードパーティとの協業を推進、IoT時代の「Smart eXperience Lab」がキックオフ)、今回はそれに続く第2回目。「新しいUX(ユーザー体験) と新しいビジネスの創造」をテーマに、2つのトークセッションが用意された。

写真1●大阪イノベーションハブで開催されたSmart eXperience Lab Forum
写真1●大阪イノベーションハブで開催されたSmart eXperience Lab Forum
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 最初のトークセッションは、ソニーが開発した、誰もが簡単にデジタルなものづくりを楽しめるDIYキット「MESH」がテーマの1つ。ソニー 新規事業創出部 I事業室 統括課長 萩原丈博氏が、MESHの概要やMESHで可能性が広がるモバイルデバイスを紹介した。

 萩原氏は、最初に1本の動画を紹介した。米国の食肉加工メーカーであるOscar Mayer(オスカーメイヤー)が開発した「ベーコンの焼ける音と香りで起こしてくれる目覚まし」ガジェットのCMで、iPhoneに接続するとニオイが出てくる。萩原氏は、「注目したいのは、食肉加工メーカーが、自社のベーコンを売るために、こういったガジェットを開発したという事実。つまり『モノがメディア化する時代』が来たということ」と語った。

 萩原氏が所属しているソニーにも、こうした遊び心やアイデアをカタチにするチームがあることはよく知られている。ただ、萩原氏は、MESHのような新規事業開発チームは、「ソニーの中にあって、独立した会社のような存在」という。アイデアをカタチにして新規事業を起こす資金は自分たちで獲得しなければならない。

 例えば、時計バンドに様々な機能を持たせるアイデアを事業化するのにも、ソニー本体の資金を活用するのではなく、ソニーのクラウドファンディング・サイト「First Flight」を活用して資金を集めた。萩原氏は、「資金もアイデアも、自分たちのチームだけではできないことが多い。そのために、アイデアや技術のあるベンチャー企業の皆さんとコラボしたい」と語った。