アシストは2015年8月31日、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトの「QlikView」と「Qlik Sense」を、業務部門みずから導入できるようにするサービス「アシストTシャツモデル for Qlik」()を発表した。これらBIソフトを動作させるサーバー基盤を月額制のクラウドサービスの形態で提供する。これにより、情報システム部門に依頼して自社でサーバー基盤を調達する必要がなくなる。9月1日から提供する。販売目標は今後1年間で20社。

図●アシストTシャツモデル for Qlikのシステム構成図(出典:アシスト)
図●アシストTシャツモデル for Qlikのシステム構成図(出典:アシスト)
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 BIソフトを動作させるためのサーバー環境を、導入が容易なクラウドサービスの形で提供する。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の仮想サーバーを利用する。必要なサーバー性能に応じて、S/M/Lの3種類のサイズのサーバー構成を用意した。アシストは、AWSの契約/支払いの代行サービスと、AWSの運用監視サポートサービスを提供する。BIソフト(QlikView/Qlik Sense)への問い合わせ(電話/Web/メール)と、AWSへの問い合わせ(Web/メール)は、すべてアシストのサポートセンターが窓口となって対応する。サポート対応時間は平日の9:00〜17:00。

 サーバー環境をクラウド型で提供する背景には、業務部門にとってサーバー環境の調達は面倒、という状況がある。まず、情報システム部門に依頼してサーバー機を導入しなければならない。さらに、あとからCPU性能やメモリー容量、ストレージ容量などのスペックを拡張することが難しく、初期導入時に余裕を持たせたスペックで導入してしまいがちである。これらの問題をクラウドで解決する。BIソフトのQlikViewとQlik Senseはユーザー数に応じたライセンスを採用しているので、運用途中でサーバースペックを変更しても構わない。

AWSの支払いを代行、サポート費用は月額1万8000円

 価格(税別)は、AWS上にBIソフトのサーバー環境を構築する際に必要な初期費用が25万円。毎月の費用はサポート費用が仮想サーバー1台当たり月額1万8000円。AWS利用料は別途必要(従量課金)で、アシストが支払いを代行する。BIソフトのライセンス料は別途必要で、あらかじめ購入しておく必要がある。サーバー1台構成時のサポート費用とAWS利用料を合わせた概算費用(参考値としてアシストが算出したもの)は、Sサイズのサーバーを週5日、1日当たり12時間稼働させた場合に月額4万8526円など()。

表●サービスの費用
利用規模は推奨値。AWS利用料は2015年8月時点の参考値としてアシストが算出(1ドル当たり120円で計算)。GBはGバイト
サイズSML
メモリー容量約32GB約64GB約128GB
総ユーザー~50人~100人~200人
同時接続~7.5人~15人~30人
データ量~24GB~40GB~50GB
AWS利用料
(12時間/日、週5日)
3万526円5万3508円9万2085円
AWS利用料
(24時間/日、週7日)
6万9318円12万9777円23万4490円
サポート/保守料1万8000円

 前提となるBIソフトのQlikViewは、インメモリー型で動作するデータ探索型のBIソフトであり、非定型でアドホックな分析に向く(関連記事:クリックテック、アドホックBIソフト新版「QlikView 11」で共同作業を可能に)。直観的な思考で表やグラフをクリックしていくだけで、目的の情報を入手できるのが特徴。データに潜んでいる業務上の課題を発見できる。

 もう一つのQlik Senseは、より簡単に使えるようにしたBIソフトであり、分析するデータの設定を含めてエンドユーザーがセルフサービス型で利用できる。棲み分けとしては、高度な分析を行う企画/マーケティング担当者の分析基盤がQlikViewで、現場の担当者や責任者向けのセルフサービスBI基盤がQlik Senseである。BIソフトのライセンス料金は、最小構成(5ユーザー)でQlikViewが250万円、Qlik Senseが124万8750円。

社内LANとAWSをVPN接続して運用

 BIソフトを使った日々のデータ分析作業は、WebブラウザーでBIソフトにアクセスして実行する。一方、分析データの指定など、BIソフトの各種設定は、RDP(リモートデスクトッププロトコル)を使ってBIソフトのGUI画面を直接操作する形になる。また、AWS上の仮想サーバーを停止したり起動したりする場合も、AWSにリモートアクセスしてAWSのコマンドを実行する。

 ネットワーク要件として、社内LANとAWSとの間を、必ずVPNルーターでつなぐ必要がある。つまり、既存のインターネット回線とWebブラウザーさえあれば利用できるサービスというわけではない。一般的な企業では、既存のインターネット回線とは別に、AWS接続用のブロードバンド回線を契約して引き込む、といった対応が必要になる。場合によっては、社内のネットワークスイッチの設定変更などが必要になる。