日経BP社ITproが主催する、IoT(Internet of Things)をメインテーマとした開発支援プログラム「A3 IoT 2015 RE/Design」。2015年7月2日に行われた、東京・二子玉川の蔦屋家電でのキックオフイベント「A3 2015 DevSession Vol.1」(関連記事=IT業界の先駆者たちが語り尽くした「2015年、IoTの可能性」)に続き、7月24日~25日の2日間にわたり、大阪で「A3 2015 DevSession Vol.2」が開催された(写真1)。
初日となる24日は、各界の識者を招いてパネルディスカッションを実施した。ウエアラブルコンピューティング、ユビキタスコンピューティングに造詣の深い神戸大学大学院工学研究科教授 塚本昌彦氏、ツクロア(tuqulore)代表取締役/デザイナーで、この7月にメガネ試着シミュレーター「MEGANATOR(メガネーター)」をリリースしたばかりの秋葉秀樹氏、脳波センサーを利用したネコミミ型デバイス「necomimi」などを開発したneurowearプロジェクトの加賀谷友典氏が参加した(加賀谷氏は遠隔からSkypeでの参加)。Vol.1同様、司会進行は山下計画の山下哲也氏が担当した。
大阪イベントのテーマは、「IoTの世界で拡がる、モバイルとウエアラブルの未来」というもの。塚本氏いわく「ウエアラブルの普及率は年々上昇し、かつて自身が描いた未来像が着実に現実になりつつある」という。続けて秋葉氏は「Webデザイナーも、極小デバイスのソリューション開発が可能な時代になってきた。今後はデザイナーとエンジニアの壁がなくなるのではないか」と述べた。
5年後「内なるIoTの時代」が来る
「5年後には‟内なるIoT”の時代が来る」と話したのは加賀谷氏だ。現在は、人間の外側にあるモノがセンサーを搭載して通信するイメージだが、今後は生体データなどと連携し、身体の内側の情報を「より高い解像度で」取得できる可能性があるとした。さらにその先には、DNA技術の進化に伴い、「現状では採取できないような身体内のデータを得られるようになるのではないか」との見方を示した。
ウエアラブルのユーザーインタフェース(UI)については、「現状のジェスチャーによるインタフェースは精度が低い。反応までに時間がかかり、ストレスを感じてしまう。まだまだ技術の分野でハードルが高いと感じている」(秋葉氏)という意見がある一方で、長年研究を続けている塚本氏は次のように語った。
「ウエアラブルは、生活や仕事の様々な状況でいろいろな使われ方をするのが本質。その場合、両手が使えることもあれば、使えないこともある。だから、ジェスチャー自体がなくなることはないだろう。一般的に空中でいろんな操作をして入力するわけだが、快適な操作を実現するためには高度なセンシングデバイスが必要になる。どれがいいかは状況によって変わるため、ジェスチャーの中でもいくつかは淘汰されていくかもしれない」