NECは2015年6月5日、欧州SAPのERP(統合基幹業務ソフト)向け業務テンプレートで、複数国の経営データを統合管理するテンプレート「NECマルチカントリモデル」を強化した。新たに、SAPの最新ERPスイート「SAP Business Suite 4 SAP HANA」(SAP S/4HANA)の上で利用できるバージョンを開発し、これを出荷した。NECによれば、SAP S/4HANA向けのテンプレートは国内初。価格(税別)は、テンプレートのライセンスが500万円からで、システム構築費用が別途必要。販売目標は今後3年間で50社。

 NECマルチカントリモデルは、複数国における販売・生産・会計などの経営データを統合管理できる業務テンプレート。自社グループ全体の経営データを横串で把握・分析できる。自動車部品業、組立製造業、プロセス業向けの標準業務プロセスを備えるとともに、NEC自身が「SAP ERP」を用いて基幹システムを全面刷新したノウハウを用いて作成したグローバル導入・展開の方法論を提供する。また、アジア・米州を中心に日本企業が多数進出する15カ国・地域の税制および商習慣に対応する。これらにより、ERP製品の導入期間を最大で1/2に短縮できるとしている。

 今回NECは、SAPが2015年2月に発表した最新ERP製品であるSAP S/4HANAで使えるように、テンプレートを開発しなおした。これまで提供してきたテンプレートの機能を、SAP S/4HANAでも利用できるようにした。ただし、SAP S/4HANAは現在、会計機能「SAP Simple Finance」だけが提供されており、販売や生産などの機能は今後の提供になる。SAPから販売や生産の機能が提供されるのに合わせてテンプレートをこれらに対応させる予定。

 SAP S/4HANAの特徴は、インメモリー技術を採用した高速データベースサーバー「SAP HANA」をデータベースエンジンとして利用すること(関連記事:SAPの新ERP、国内への提供は第1四半期中にクラウド形式で)。これにより、経営データを高速に分析できる。NECは、SAP S/4HANAに合わせてユーザーインタフェースも新たに開発した。HTML5画面の開発環境「SAP Fiori」を利用した。これにより、自社グループ全体の経営データを横串でリアルタイムに把握・分析できるようにしたという。