写真1●「ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)」設立発表会では、各団体や企業の代表者が壇上に並んだ
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写真2●ICT CONNECT 21の赤堀侃司会長
写真2●ICT CONNECT 21の赤堀侃司会長
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写真3●委員会とワーキンググループを設けてさまざまな検討を行う
写真3●委員会とワーキンググループを設けてさまざまな検討を行う
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 教育におけるICT(情報通信技術)の活用を推進する団体「ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)」が2015年2月2日に発足した(写真1)。日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)など九つの教育関連団体のほか、内田洋行/NTT持ち株会社/学研ホールディングス/KDDI/ソフトバンク/ベネッセホールディングスの6社が発起人に名を連ねる。大学教授などの有識者も加わり、「オールジャパンで連携して活動する」(ICT CONNECT 21の会長に就任した、JAPET&CECの会長で白鴎大学教授の赤堀侃司氏、写真2)。総務省や文部科学省とも連携するという。

 ICT CONNECT 21では、教材コンテンツや教育サービスに関する技術の標準を策定することなどを通じて、教育サービスの普及や活用を促進することを目的とする。「2020年までに、誰もがいつでもどこでもICTを活用して世界最高レベルの学びに取り組めるような環境を実現する」(ベネッセ教育総合研究所の新井健一理事長)ことを目標に掲げる。「今の子どもたちは、厳しい国際環境の中で生きていかねばならない。そのためには問題解決力を付けるほかない」(赤堀氏)。ICTを活用した教育を誰もが受けられるようにすることで、人材育成を民の立場から支援するという。

 組織内には、あるべき教育環境の検討やビジョン策定などを行う「ビジョン委員会」を設ける(写真3)。その下に、「技術標準化」「普及推進」という二つのワーキンググループを置く。技術標準化ワーキンググループでは、国内外の関連規格を整理した上で、システム間のインタフェースを規定するなどの活動を予定する。技術を標準化することで、システムの調達側にとって選択肢が広がり、コストを減らせる。また国際標準も意識することで、国内の製品の海外展開も見込めるようになるという。

 普及推進ワーキンググループでは、参加企業などによる共同プロモーションのほか、ビジネスの創出や拡大に向けた検討を行う。国が実施する実証研究などを通じた教材の有効性検証や、ビッグデータ分析を活用したビジネスモデルの検討などを実施する。

 設立発表会では、来賓として招かれた西銘恒三郎総務副大臣、赤池誠章文部科学大臣政務官が登壇。「総務省では、デジタル教材が自由に流通し、誰もがいつでもどこでも学習できる基盤の実現を目指している。システムやデジタル教材がバラバラに機能するのではなく、適切な標準化が行われることが大事だ」(西銘氏)、「(教育の情報化には)地域間格差が発生しているという懸念がある。全国的な機会均等を図りたい」(赤池氏)などと述べ、ICT CONNECT 21などと連携しながら教育におけるICT活用をさらに推進するとの意思を表明した。

 発起人企業の代表者による挨拶も行われた。内田洋行の大久保昇代表取締役社長は「(過去、教育の情報化では)いくつものブームが起きたが、今回もブームで終わってはいけない。実質的なムーブメントになるよう貢献したい」と発言(関連記事:ブームで終わらせないために――教育でのICT活用をめぐり識者が講演)。ベネッセホールディングスの原田泳幸代表取締役会長兼社長は「ICTやEdTech(技術を活用した教育系サービス)だけが革新をもたらすのではない。教育の知見やコンテンツ、アナログも融合すべきで、業界のコラボレーションが成功のカギになる」と話した。

ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)