日本マイクロソフトは2014年12月8日、公共機関向けのクラウド事業に関する説明会を開催した。同社執行役常務パブリックセクター担当の織田浩義氏(写真)は、行政・医療・教育分野の法人ユーザーに対して、閉域ネットワークおよび国内データセンターを基盤とした公共機関専用のクラウドサービスを提供する方針を明らかにした。
織田氏によると、クラウドサービスに対して公共機関から多く寄せられる要望は、(1)ネットワークの閉域化、(2)ロケーション(国内データセンターの利用、日本の法令への準拠)、(3)専用サーバーでの運用の3点だ。
閉域化のニーズに対応するために、同社では、クラウドサービスと公共機関専用ネットワークとの接続を拡大。インターネットイニシアティブ(IIJ)と協業し、「Microsoft Azure」を学術情報ネットワーク(SINET)経由で提供する仕組みを整備した。また、富士通エフ・アイ・ピーと共同で、総合行政ネットワーク(LGWAN)を介した「Microsoft Exchange」メールサービスの提供を開始した。
データセンターのロケーションに関して、同社は11月、主要な法人向けクラウドサービスを国内データセンターから提供することを発表している(関連記事)。公共機関向けにも同様に、国内データセンターを利用したクラウドサービスを展開していく考えだ。「国内データセンターは東日本と西日本の国内2拠点で冗長化しており、データは国内に保持される。また、管轄は東京裁判所。公共機関のユーザーのニーズを満たしている」(織田氏)。
特に、公共機関に向けては、行政・医療・教育分野に特有の既存業務アプリケーションをMicrosoft Azure上へ移行し、クラウドサービスとして提供していくことに注力する。今後1年間で100の公共機関向け業務アプリをAzureへ移行することを目標に掲げ、目標達成のために、同分野の業務システム開発事業者に対して、開発支援、Azure上への移行支援を行うとする。Azure移行の先行事例として、同日、システムディが開発する校務システム「キャンパスプラン」を、「キャンパスプラン for Azure」の名称でAzure上で提供すること発表した。
民間企業とサーバーを共用できない公共システムを、専用サーバーでクラウドサービス化する課題については、「将来的に、Azure上に公共機関用サーバーなどの専用領域を構築することを検討していく」(織田氏)とした。