米Intelは今後15年をかけて中国・四川省成都の半導体工場に最大16億ドルを投資し、同国で事業を拡大する。現地時間2014年12月4日に、米Wall Street Journal英Reutersなどが報じた。

 Intelはこれまで成都の工場に6億ドルを投じてきたが、新たな投資によって半導体の組み立てと試験設備を刷新し、先進試験技術を中国に導入するという。Intelの技術・製造グループ担当エグセクティブバイスプレジデントのWilliam Holt氏は、「最新の試験技術の中国への導入は、中国とともに技術革新を進めていくという我々のコミットメントを示している」と述べている。

 Reutersによると、Intelは中国に最新技術を導入することと引き換えに、地方政府から施設の建設に関する支援を受ける。またWall Street Journalは、Intelの狙いはモバイル向け半導体事業の巻き返しだと伝えている。

 Intelは今年、低価格スマートフォン向けプロセッサの設計を手がける2つの中国企業と提携した。1つは中国第2位と第3位の半導体設計企業を傘下に持つ政府系企業、Tsinghua Unigroup(清華紫光集団)。Intelは同社に15億ドルを出資している。もう1つはFuzhou Rockchip Electronics(福州瑞芯微電子)で、Intelは同社と戦略的パートナーシップ契約を結んでいる。

 Wall Street Journalによると、中国政府は半導体を戦略分野の1つと位置付けており、産業の育成を図るため新たな投資を積極的に受け入れている。一方でこうしたIntelの動きと、同社のライバルである米Qualcommの中国における状況とは対照的だとReutersは伝えている。

 中国の独占禁止当局は、Qualcommが無線通信市場での地位を乱用し、価格の吊り上げなどに関与した疑いがあるとして調査している(関連記事:Qualcomm、中国当局による調査が継続、今後の業績への影響を懸念)。また同国では、米Microsoftを含む30社以上の国外企業に対しても調査が行われている。Reutersによると、Qualcommは数日中に前代未聞の和解を発表する可能性があるという。

 こうした当局の措置について、国外からは「強硬な手段で外国企業に技術共有を強いたり、国内産業を有利にしたりしている」との非難の声が上がっているとReutersは伝えている(関連記事:中国独占禁止当局、WindowsとOfficeに関してMicrosoftに説明要求)。