米Qualcommは現地時間2014年11月5日、中国独占禁止当局による調査が続いており、同社の今後の業績に影響を与える可能性があることを明らかにした。

 Qualcommは同日、2014会計年度第4四半期(2014年7月~9月)の決算を発表し、今後の見通しに言及する中で、中国が引き続き同社に大きな事業機会をもたらすと同時に、大きな難題をもたらしていると述べた。中国の一部ライセンシーが契約に則ったライセンス料を完全に支払っていないほか、中国国家発展改革委員会(NDRC)の調査が続いていることで新規ライセンス契約が先延ばしにされていると主張した。

 NDRCは、Qualcommが無線通信市場での地位を乱用し、価格の吊り上げなどに関与した疑いがあるとして調査に着手する意向を今年2月に明らかにし、Qualcommの中国子会社に対する調査を実施した。8月には「Qualcommが価格設定を是正する意思を示した」との声明をNDRCが発表したと伝えられている(関連記事:Qualcomm、中国当局による調査で価格是正の意思示す)。

 Qualcommが今回報告した第4四半期の業績は、売上高が66億9000万ドルと、前年同期比3%増加した。営業利益は同25%増の19億9000万ドル、純利益は同26%増の18億9000万ドル(希薄化後1株当たり利益は1.11ドル)だった。

 2014会計年度通年(2013年10月~2014年9月)の売上高は前年度比7%増の264億9000万ドル。営業利益は同4%増の75億5000万ドル、純利益は同16%増の79億7000万ドル(希薄化後1株当たり利益は4.65ドル)となった。

 2015会計年度第1四半期(2014年10月~12月)の業績見通しは、売上高が66億~72億ドル、希薄化後1株当たり利益を1.00~1.12ドルと予測。2015会計年度通期(2014年10月~2015年9月)は売上高を268億~288億ドル、希薄化後1株当たり利益を4.33~4.63ドルと見込んでいる。

 また、米Wall Street Journalの報道によると、Qualcommが米証券取引委員会(SEC)に提出した書類から、同社が米連邦取引委員会(FTC)の調査も受けていることが分かった。同社が標準必須特許を公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件のもとライセンス供与するという規則に反した疑いがあるとしている。また、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)もリベート問題でQualcommを調べているとの報道(米New York Times)もある。

[発表資料へ]