ITの聖地「米国西海岸地域(サンフランシスコやシリコンバレー)」には、グーグル、アップルなど世界有数のIT企業が本社を構え、世界中から優秀なエンジニアが集まる。IT関係の仕事に携わる人であれば、「いつかはここで仕事をしてみたい」「ここで自分の実力を試してみたい」と考えている人も多いのではないだろうか。

 だが、海外で働くことに対して興味はあるが、家族や語学の問題、文化の異なる環境で働くことへの不安などから、なかなか踏み出せない人もいるだろう。先日、米国に出張に行く機会があった筆者は、米国で働く魅力を、2人の日本人エンジニアにインタビューした。米ツイッターで働く中川智史氏と藤田善勝氏だ(写真1)。

写真1●米ツイッターの中川智史氏(左)と藤田善勝氏
写真1●米ツイッターの中川智史氏(左)と藤田善勝氏
[画像のクリックで拡大表示]

 中川氏と藤田氏は、日本で長年活躍してきたつわものエンジニア。中川氏は、大阪大学の修士課程で人工知能を研究し、学生時代にオープンソースプロジェクトで、IRC(Internet Relay Chat)クライアントソフト「LimeChat」を開発した人物だ。LimeChatは、世界で数十万人のユーザーがいるソフトウエアである。米ツイッターには2012年1月に入社した。

 藤田氏は、代表取締役兼プログラマーとして、日本でゲーム会社「リトルウイング」を20年以上経営してきた人物。Mac用やWindows用、iPhone用ゲームなどのほか、アーケードゲームなどを作ってきた。200万人を超えるユーザーが、今も藤田氏の開発したゲームを利用している。2013年1月にTwitter Japan入社し、2013年10月から米ツイッターで働いている。

 今回は米国で働く二人に、米国に渡った理由や働いてみた感想、苦労したこと、米国でエンジニアとして働くその魅力を語ってもらった。

(聞き手は鈴木 慶太=日経コンピュータ


日本で活躍してきたお二人は、なぜ米国で働こうと思ったのですか。

(中川氏)
 直接的なきっかけは、前の会社に誘われたこと。ですが、昔からオープンソースプロジェクトなどをしていたので、海外のエンジニアとやり取りすることが多く、漠然と海外で仕事をしてみたいと思っていました。