欧米企業のIT部門には今、どのような変革の波が押し寄せているのか。BI(ビジネス・インテリジェンス)に加えて企業動向にも詳しい米Qlikのエバンジェリスト ジョン・サンズ氏に聞いた。IT部門の今だけにとどまらず、話は、CIOの役割変革やBI関連ツールに求められる要件にまで広がった。

(聞き手は西村 崇=日経情報ストラテジー


写真●米Qlik グローバルプロダクトマーケティングのジョン・サンズ エバンジェリスト
写真●米Qlik グローバルプロダクトマーケティングのジョン・サンズ エバンジェリスト

欧米企業ではIT部門の役割が変わりつつあるとみているそうですね。どのような変化が出てきていますか。

サンズ氏 IT部門はこれまで企業内で「門番」のような役割を果たしていました。それが、今では徐々に「来店した顧客のニーズを満たす店員」のような役割に変わってきていると感じます。

 データ分析で具体的に説明しましょう。これまでのIT部門は、ビジネス部門から「こんなデータが欲しい」という依頼を受けても、セキュリティの観点から、提供に前向きではありませんでした。その依頼に応える場合も、システム部門がデータを加工してビジネス部門に提供するといった、手間がかかる手順を踏んでいました。

 ですが今のIT部門は、ビジネス部門に、BIプラットフォームを提供することで、「こんなデータが欲しい」というビジネス部門のニーズに応えるようになってきました。

その変化のきっかけは何なのですか。

サンズ氏 BYOD(Bring Your Own Device)です。ビジネス部門の社員たちが自分の使いたいデバイスを仕事に持ち込む動きが出てきたことを受けて、IT部門は、セキュリティを確保して対応。IT部門が自ら、社員のためにデバイスを調達する手間がかからないメリットもあり、浸透してきました。

 BIプラットフォームの提供でも、「ビジネス部門からの依頼を受けて分析する手間が省ける」というインセンティブがIT部門に働いて、加速しています。

 今後は、ビジネス部門の社員のニーズを踏まえて、IT部門がツールを提供。そのツールでビジネス部門の社員が自らの手でビジネス上の課題解決を進めていく、セルフサービス型の施策が増えていくでしょう。