米ファルコンストアは、ストレージを束ねて仮想化する仮想ストレージソフトを中核に、データバックアップやDR(災害復旧)など、情報システムのデータを保護するためのソフトウエア製品を開発しているベンダーである。2015年2月18日には、新製品の仮想ストレージソフト「FreeStor」を発表した(関連記事:ファルコンストア、SDSを志向した多機能な仮想ストレージを発表)。6月3日から、国内を含む全世界で提供を開始する。FreeStorの価格体系と出荷時期を5月13日にアップデートしたタイミングで、同社CEOと日本法人社長に仮想ストレージの動向と新製品の特徴を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ライター)

FreeStorは仮想ストレージソフトだが、アーキテクチャー上の特徴は。

米ファルコンストア(FalconStor)、社長兼CEOのゲーリー・クイン(Gary Quinn)氏(写真右)と、ファルコンストア・ジャパン代表取締役社長の森本雅之氏(写真左)
米ファルコンストア(FalconStor)、社長兼CEOのゲーリー・クイン(Gary Quinn)氏(写真右)と、ファルコンストア・ジャパン代表取締役社長の森本雅之氏(写真左)
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 特徴の一つは、物理的なリソースの制約を受けることなく、任意の外部ストレージを接続して使えることだ。一部の仮想ストレージソフトは内蔵ハードディスクを仮想ストレージとして使うが、FreeStorは既存のストレージ装置や最先端の高速フラッシュストレージなど任意の外部接続ストレージをリソースとして利用できる。

 任意のストレージを接続できるメリットは大きい。例えば、以前のデータセンターは、システム更新のタイミングで一斉にストレージを入れ替えていた。今では、そんなことはしない。最新のストレージを一部に導入したり、要らなくなったストレージを一部取り除いたりするなど、徐々にストレージを入れ替える。FreeStorは任意の外部ストレージをリソースとして使えるので、徐々にリソースを入れ替えられる。

 もう一つの特徴は、複数台を束ねるスケールアウト型でストレージプールを拡張できること。FreeStorをインストールしたストレージサーバーのそれぞれに外部ストレージを接続しておいた状態で、複数台のFreeStorサーバーでクラスターを組める。これにより、巨大な一つの共有ストレージプールを構成できる。ペタバイトクラスのストレージを必要とするデータセンター事業者やサービスプロバイダーの需要に合う。

 ペタバイト級のストレージを実現できることを受けて、実際に大規模なユーザーが付いている。2月18日に日本国内で製品を発表してから今日(5月13日)までに、すでに国内で4件の引き合いがあった。3件はデータセンター事業者で、1件は大手のサービスプロバイダーだ。

 大規模で使うことを想定し、価格も下げた。2月18日の製品発表時には1Tバイト当たり年額40万円とアナウンスしていたが、これを改め、1Tバイト当たり年額10万円に下げた。これと並行して、最小構成も大規模の需要に合わせて100Tバイトに設定した。つまり、最小構成の契約は年額1000万円になる。

性能面や機能面での特徴は。

 業務サーバーからはSAN(iSCSI、FibreChannel、FCoE)ストレージとして利用する。性能面には注力しており、データベースサーバーの1次ストレージとして利用することを想定している。実際に他社製の仮想ストレージソフトと比べると、1ノード当たりのアクセス性能が高くなっている。

 機能も豊富だ。FreeStor以前から提供しているストレージソフト群が備えていた機能を、そのまま継承している。例えば、新旧ストレージ間でデータを移行するデータマイグレーションができる。アクティブアクティブ構成の冗長化によって、可用性も高めた。スナップショットやCDP(継続的データ保護)など、データの保護/復旧機能も持つ。データの重複排除機能やVTL(仮想テープ装置)インタフェースも備える。

運用面での特徴は。

 FreeStorでは、ストレージサーバーとなるノードのほかに、これらの設定を一元管理する専用の管理サーバーを用意している。1台の管理サーバーで128ノードのストレージサーバーを管理できる。

 FreeStorの設定のすべては、この管理サーバーが提供するWeb API(REST API)を介して制御できる。このため、導入済みのクラウド運用ソフトからSDS(ソフトウエアデファインドストレージ)として制御できる。稼働状態もWeb画面から監視できる。リアルタイムで起こっていることや、過去の動向が分かる。

■変更履歴
リード部でFreeStorの国内発表日を2014年2月18日としていましたが2015年2月18日の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2015/05/22 16:00]