「日経ITイノベーターズ Executive Summit ZERO」ではイベントに参加した改革者60人が「ITイノベーターズの使命」についてディスカッションした。その後編を紹介する(前編はこちら)。

 企業変革を担う次世代のリーダーには、高度なコミュニケーション能力が求められる。改善と異なり、改革というものは全社にまたがる活動になる。様々な部門の担当者と議論し、物事を進めていかなければならない。そうしたことを意識して、人材育成しているところもある。

事業部門の会議に部下を出席させる

 「IT部門が事業を支えるには、商品や事業のことをもっと知る必要がある。そこで7つの事業部門の会議に、IT部門のメンバーを参加させている。ただ座っているのではなく、『必ず一回は発言するように』と命じている。最初は苦労していたが、半年ぐらいたつと慣れる。部員の対話能力などが上がっていると手応えを感じている」(製造業・執行役員)

事業部門にもITに強い人材を

 「『改善の積み重ねは改悪』だ。ところがシステム部員が進めると、改善レベルにとどまることが少なくない。その一番の理由は、システム部員が業務を知らないため、事業部門側に意見を言えないことにある。そこでIT部員を順次、事業部門に異動させている。3年ぐらいで戻すつもりだが、実際には半数くらいは戻ってこなくても構わないという考えだ。事業部門にITが分かる人材がいることが、改革には必要になるからだ」(小売業・システム部門長)

海外拠点の人材から刺激を受ける

 「人材を育てるには、多様なメンバーで構成するチームに投入するのが有効だ。当社の海外拠点にもIT部門があるので、日本のIT部員には、欧米や中国のIT部員と一緒にプロジェクトを進める機会を増やしている。海外拠点には、社外からスカウトされた優秀な人材も少なくない。こうした人材との仕事を通じて、海外の優れたやり方を知ったり、逆に日本の良いやり方を気付いたりするなど刺激が多い」(製造業・常務執行役員兼 CIO)