そもそもビジョンとは何か
所長「本日はビジョンの話から始めたいと思います」
榊田「企業のみならず個人にもビジョンは必要ですね」
所長「もちろんその通り。では、榊田くん、キミはビジョンをどう定義しますか」
榊田「うーん、そうですね──。将来における理想の姿、これがビジョンでしょうか」
所長「ふむ。なかなか的確な定義じゃないですか。このビジョンとよく似た言葉にミッションと価値観がありました。覚えていますか」
榊田「……それって、この『ITのプロが知っておきたいビジネス理論の常識』特集の第1回、ピーター・ドラッカーのマネジメント論で出てきませんでしたっけ」
所長「そう、出てきましたね。組織の存在理由を示すものがミッション、そして将来の理想像がビジョン。さらにビジョンに到達するための行動規範、これが価値観でした」
榊田「はい。そして、ミッション・ビジョン・価値観をひとまとめにしたものがその組織の理念、企業ならば企業理念になる!」
所長「ふむふむ。なかなか素晴らしい回答です。ミッションは過去から組織を照らします。また現在の立ち位置から企業に照明を当てるのが価値観です。そして企業の未来にスポットを当てたのがビジョンですね。そしてこの三位一体である理念が、本日のテーマであるビジョナリーカンパニーと深い関係があります」
ビジョナリーカンパニーはジェームズ・コリンズとジェフリー・ポラスの共著『ビジョナリー・カンパニー』で著名になった言葉だ。
世の中には、時代を超えて成功し、一流企業として何十年もその地位を維持するばかりか、世界中がその経営手法をモデルにする企業が存在する。コリンズらはこのような企業のことを「ビジョナリーカンパニー=超優良企業」と呼んだ。
この超優良企業の共通点を明らかにしたのが、著作『ビジョナリー・カンパニー』にほかならない。では、その共通点とは一体何だったのか。