初めに言っておくが、私は目立ちたがり屋ではない。むしろ人前に出ることは苦手で、できることならば機械いじりか土いじりでもやって、静かに暮らしたいと思っている。だが最近、私は“キャラを立てる”ことにしている。つまり、無理して目立ちたがり屋になっている。今回の極言暴論は番外編として、その理由を解説する。実はITベンダーやIT部門、技術者に伝えたいメッセージがある。

 なぜ、この時期に番外編という形で、このネタを載せるのかというと、このITpro上で「極言暴論ライブ」という特集を掲載しているからだ。この特集は、2015年12月に開催したセミナーイベント「日経コンピュータ・サミット」での私の講演『デジタル時代に用済みとなるIT部門とSIer』の内容を、全6回の記事として再現するものだ。

 講演タイトルから分かる通り、この極言暴論のライブ版との位置付けだ。実は最近、日経BPのイベントで講演する際には、必ず「極言暴論ライブ」と銘打つことにしている。つまり、講演もキャラを立てているわけだ。その中でも今回の講演は、聴講者の54.2%が「大変参考になった」とし、「参考になった」と合わせると9割以上を占め、「参考にならなかった」はゼロと多くの聴講者に満足してもらった。

 ならば、このキャラの立ったライブを私のしゃべり口調なども含め、なるべくナマの形で記事として再現したら、多くの読者に読んでもらい参考にしてもらえるのでは、と考えて企画したのが、ITpro版の極言暴論ライブだ。現時点(2016年3月7日)で前半の3本を公開したが、どの記事も狙い通り、ITproのアクセスランキングで長時間にわたり上位を占めた。

 そろそろ「木村は長々と自慢話をしたいのか」と疑いの眼差しを向ける読者もいると思うが、さにあらず。当然のことながら、記事や講演でキャラが立っているかどうかと、内容の良し悪しとは本質的に無関係だ。だが、主観的には良い記事だと思ったところで、目立たなければ誰も顧みない。そして気がつかれなければ、存在しないも同然だ。そこから言えることを“存在しないも同然”のITベンダーなどの技術者に伝えたいのだ。