「ごみ焼却発電プラントは比較的安定した電源の一つとして評価されるようになり、これまで以上に発電効率の向上に期待がかかっている。その一方で、プラントの省人化も進んでいる。プラントを支えてきたベテランの運転員が不在の場合でも高い効率で運転できるようにしたい」。日立造船の環境・エネルギー・プラント本部 エンジニアリング統括本部の川端馨グループ長はこう語る(写真1)。

写真1●日立造船内に設置した遠隔監視・運転支援センター(写真:日立造船)
写真1●日立造船内に設置した遠隔監視・運転支援センター(写真:日立造船)
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 日立造船は日本IBMの協力の下、ごみ焼却発電プラントの最適運転管理システムの構築に向けた取り組みを始めた(関連記事:日立造船がごみ焼却発電プラントの最適運転管理システム構築へ)。トライアルを開始したのは2014年10月。その効果や商用化の可能性を2015年3月までに検討し、その後、次のステップに移る計画だ。

 ごみ焼却プラントの運用コストを抑えたい自治体や運営会社にとって、発電した電力の売却によって生じる収入は大きい。例えば東京二十三区清掃一部事務組合によれば、同組合は2013年3月~2014年2月の1年間に東京23区の清掃工場約20カ所で約11億3000万kWhを発電。その約5割を売却して約98億円の収入を得たという。そうした売電収入をさらに増やせるようにITを活用することが自社のごみ焼却発電プラントの競争力につながると日立造船は考えた。