図●ごみ焼却発電プラントの最適運転管理システムの構想
図●ごみ焼却発電プラントの最適運転管理システムの構想
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 日立造船は日本IBMの協力の下、ごみ焼却発電プラントの最適運転管理システム構築に向けた取り組みを開始すると発表した。これまで蓄積してきたプラントの稼働データを活用しながら、燃焼の異常検知や燃焼条件の最適化を自動で行うシステムの構築を目指す()。

 日立造船はこれまで、ごみ焼却発電プラントの運転状況を遠隔監視して設計の検証や経年変化の確認、トラブル発生時の技術支援などを行う「remonシステム」、プラント内の任意の場所に設置した仮設カメラから無線LAN網を通じて画像や動画を監視センターに発信することでトラブル時の現場対応を支援する「maronシステム」、学習機能を持った燃焼画像認識システム「CoSMoS(Combustion Sensing Monitor System:コスモス)」を開発し、納入したプラントに採用してきた。これらのシステムによって同社はごみ焼却発電プラントの運転状況に関するビッグデータを蓄積している。

 今回は新たに、(1)蒸気量や炉内温度、ごみ投入量といったセンサーデータの相関関係に基づき、オペレーターが気付く前に燃焼の異常を検知する、(2)NOxやCOといった排ガスやダイオキシンなどの有害物質の発生を抑えながら最も効率良く燃焼させられる条件をビッグデータ分析から導き出し、その条件を維持できるように制御することによって発電ロスを最小化する、という二つの目標でシステムを試作し、その検証を行う。運転状況のビッグデータを解析して10~30分程度先の燃焼パターンを予測できるかも検証する。

 この取り組みでは、設備や機器から得たデータを解析して障害の予兆を検知し、品質やサービスの向上と保全業務の効率化を支援する日本IBMのソリューション「Predictive Asset Optimization(PAO)」を活用する。またIBMの東京基礎研究所の研究員がこの取り組みに参加し、IBMの先端的なデータ解析技術の適用を検討していく。