写真●ワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室淑恵氏(右)と、サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏
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写真●「変える覚悟、変わる覚悟」をテーマに講演した青野氏
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 「生産性を向上するには、経営者が従業員の評価軸を期間当たりの生産性ではなく、時間当たりの生産性に切り換えることだ」――。

 サイボウズが2015年11月6日に東京都内で開催した年次イベント「cybozu.com カンファレンス 2015」で、基調講演のスペシャルゲストとして登壇したワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室淑恵氏はこう提言した(写真1)。

 長時間労働を抱えながらも生産性の向上に悩む経営者は、自社の評価基準を見直す必要がありそうだ。

 基調講演ではサイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏が登壇し、「変える覚悟、変わる覚悟」をテーマに講演した(写真2)。青野氏は日本が取り組むべき課題として「長時間労働」「地方創生」「新しいSI」を挙げた。

 長時間労働について青野氏は、自身が経営者でありながら育児休暇を取得した経験を語った。青野氏は現在3度目の育児休暇を取得中で、基本的に毎日午後4時には仕事を切り上げて自宅に帰るという。「昔に比べて労働時間は半減した」と青野氏は話す。

社長がすべき仕事は二つ

 労働時間の短縮化により、青野氏は社長として必要な仕事を「意思決定と価値観の浸透」に絞った。育児に参加することで、青野氏は「医療や教育、自治体の動きを理解できた。社内のことだけでなく、社会の視点で意思決定ができるようになった」と効果を語った。

 青野氏は長時間労働の解消に取り組む先人として、ワーク・ライフバランスの小室氏を壇上に招いた。小室氏はITベンチャーと大手メーカーでの経験を経て、2006年にワークライフバランスに関するコンサルティングを手掛ける同社を立ち上げた(関連記事:ITベンチャーと大手メーカーを渡り31歳で起業)。

長時間労働を止めると業績が上がる

 小室氏はこれまで900社以上のコンサルティングを担ってきたという。各企業のコンサルティングを通して「長時間労働の解消により、どの企業も驚くほど業績が上がっている」(小室氏)ことを紹介した。「ある建設業系の企業では6億円だった売り上げが、いまでは40億円に達している」(小室氏)。

 同じくコンサルティングを手掛けたリクルートスタッフィングでは、「休日の労働時間を86%削減しながらも12%の成長を遂げた。さらに女性従業員が産む子供の数が1.8倍になった」(小室氏)とのことだ。