スマホアプリの迅速開発を支援するソフトとして、モバイル向けデータベース(DB)製品が充実してきた。

 日本オラクルが2014年8月、DB技術を活用したスマホアプリ開発支援ソフト「Oracle Mobile Suite」を投入したり、NoSQL型と呼ばれるデータベースを手掛ける米カウチベース(Couchbase)がモバイル向けのNoSQL型DB「Couchbase Mobile」を国内で強化するなど、動きが活発になっている。

 これらは、いずれもスマホアプリの内部に小型のDBを組み込むものだ。

 一般に、業務で用いるマスターのデータは社内システムのサーバー上に置く。これに対し、モバイル向けDBは、マスターのデータをスマホ上に一時的に蓄積(キャッシュ)したり、変更のあったデータをアップロードして同期したりする役割を担う。マスターDBのデータをキャッシュできることから、電波の届かないオフラインの場所でも業務データを参照・更新しやすくなる。マスターDBとの同期は、ゲートウエイが行う。

オラクルがMEAP投入

 オラクルが投入したOracle Mobile Suiteは、MEAP(モバイル・エンタープライズ・アプリケーション・プラットフォーム)と呼ばれるタイプのソフトだ(関連記事:オラクルがモバイル向け業務アプリ開発支援のMEAP製品投入、業種別テンプレートも)。業務アプリの開発ツールや開発フレームワーク、業種ごとに用意したひな型のアプリ、社内システムと連携するためのゲートウエイなどで構成される。

 オラクルは、Oracle Mobile Suiteの開発フレームワークの内部に、モバイル向けDBを採用。具体的には、オープンソースソフト(OSS)の小型リレーショナルデータベース(RDB)である「SQLite」を用いた。

ドキュメント指向DBがモバイル領域に

 カウチベースは、サーバー向けにOSSのNoSQL型DB「Couchbase Server」を手掛けてきたが、2014年5月にモバイル向けのCouchbase Mobileを投入した。2014年4月に日本法人を設立し、現在、国内でオンラインゲームやエンタープライズ用途などに向けて営業を強化している。アプリのオフライン対応やサーバー側との同期がしやすい点をアピールしている。