「小規模自治体のITコスト高は明らか」「かならずしも汎用機(レガシーシステム)のコストが高いとは限らない」──2月28日、総務省がまとめた市区町村の業務システム経費に関する調査結果について、産・学11団体による分析結果の発表が行われた。

 発表があったのは総務省の「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」の第7回会合。使用したデータは総務省が2005年12月にまとめた「共同アウトソーシング:業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査結果」。住民情報関連、税業務、国保・年金から電子申請、図書館業務など28の自治体業務システムについて、構築・運用・保守コストについて、全国の市区町村からアンケート調査でデータを集めたものだ。(関連記事)。ベンダー、シンクタンク、大学が、アプリケーション別、団体規模別など様々な角度から自治体のITコストについて分析結果を発表した。

 調査・分析を発表した団体と発表内容の概要は下記の通り(当日発表順)。また、検討会座長の須藤修・東京大学大学院情報学環教授の研究室では「現在、開発・運用・保守を分離した場合とそうでない場合について比較・分析している」という。

三菱総合研究所
・地方自治体における調査結果の活用方法について
日本総合研究所
・調査した28種のシステム導入状況、費用、システム形態などの比較・分析 マイクロソフト
・小規模団体におけるコスト、導入の進んでいないシステムの分析。共同化のパターンの提案など
NTTデータ経営研究所
・基幹系、業務支援系、フロントエンド系システムそれぞれについての分析のほか、「投資比率」への着目の重要性を指摘
三菱電機
・電子申請システムについての分析
富士電機システムズ
・文書管理システム、庶務事務システムについての分析
日立製作所
・福祉業務システム、財務会計システムについての分析
NEC
・住民情報関連システムについての分析
国際航業
・統合GISシステムについての分析
情報政策研究所
・自治体規模ごとの税業務および住民何連システムについての分析
摂南大学(経営情報学部 学部長・教授 島田達巳)
・同大学の電子自治体ランキングと今回の調査との相関関係についてなど

 なお、今回の各団体の発表用プレゼンテーション資料は、総務省の同検討会のサイトで近日公開される。また、総務省では、これら報告書なども参照し、今年度中に報告書を作成する。

 日経BPガバメントテクノロジー』2006年春号(4月1日発行)では、この調査結果を自治体がいかに活用すべきかについてレポートをまとめ、掲載する予定である。(黒田隆明)