写真1●Windowsパソコンで2台の仮想的なパソコンを起動している画面
写真1●Windowsパソコンで2台の仮想的なパソコンを起動している画面
仮想化ソフトは「VirtualBox」を利用し、「Ubuntu 12.04」と「CetOS 6.2」の仮想的なパソコンを作成した。
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 Windowsパソコンを使い慣れた方にとって、Linuxは「専門的な知識を必要とする難しいOS」というイメージかもしれません。もしそうだとしたら、それは使い慣れていないだけの単なる思い込みです。今はLinuxもWindowsとそん色なく利用できるようになってきました。もっと気楽にLinuxで遊んでみませんか?「仮想化ソフト」を使えば、まるでWindowsアプリケーションの一つのようにLinuxを楽しむことができるんです(写真1)。筆者は日経Linuxの7月号で、初心者でも直観的に理解できる特集記事「サーバー構築超入門」をまとめました。やや煩雑と思われるサーバーの構築も、仮想化ソフトを使えば失敗を恐れる必要はありません。

もう1台パソコンを用意するより気楽に試せる

 新しいOSを試すには、そのOSが動作可能なスペックを備えた、もう1台のパソコンを用意する必要があります。自宅に空きのパソコンが転がっていれば問題ありませんが、そうそう何台もパソコンを持っている方は多くないでしょう。仮にパソコンを持っていたとしても、電源を確保してLANケーブルを配線する必要があります。しかも、電源ケーブルやLANケーブルが届く範囲にパソコンを設置するスペースを確保しなければなりません。

 仮想化ソフトを使えば、こうした煩わしさは一切生じません。仮想化ソフトとは、Windowsパソコンの中にもう1台の仮想的なパソコンを作成してくれるソフトウエアのことです。Windowsパソコンの中で動作しているので、電源を確保したり、LANケーブルを配線したりという手間が掛からないのです。もちろん、設置スペースの確保も気にする必要はありません。もう1台パソコンを用意するよりははるかに気楽にLinuxを試せるのです。

 さらに、仮想化ソフトなら失敗しても何度でも元の状態に戻してやり直すことが可能です。Linuxのように使い慣れないOSを試すとき、必ずどこかで操作を間違えたり動作が不安定になったりするものです。使い慣れていないため、元に戻そうにもどうすればいいのか分かりません。そんなとき、仮想的なパソコンのバックアップを取っておくことで、失敗した前の状態に戻すことができるのです。

 「仮想化ソフト」という言葉から「専門的な知識を必要とする難しいソフトウエア」というイメージを抱くかもしれません。確かにITproで取り上げている「仮想化ソフト」のニュースは、ほとんどがサーバー側で使うことを想定した企業向けソフトウエアで、専門的な知識が求められます。けれども、個人のデスクトップパソコンで使うことを想定した仮想化ソフトもあるのです。米VMwareの「VMware Player」や米Oracleの「VirtualBox」です。

写真2●VirtualBoxのスナップショット機能
写真2●VirtualBoxのスナップショット機能
あらかじめ戻しておきたい状態を保存しておくと、保存した状態が画面のようなツリー状に一覧表示される。この中から任意の状態を選択して戻すことができる。いったん過去の状態に戻した後で、最新の状態に戻すということも可能だ。
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 個人向けソフトウエアなのでインストールも簡単です。作業は表示される画面に従って進めるだけ。仮想的なパソコンはワンクリックで作成できます。しかもタダ。一度、試してみる価値はあります。インストールプログラムの配布先のURLやインストール方法は、こちらの記事に詳しくまとめてあります。ぜひ参照して試してみてください。

 筆者のお薦めはVirtualBoxです。VirtualBoxは、現時点のマシンをバックアップしておく機能「スナップショット」を持っています(写真2)。操作や設定を間違えてしまったとき、間違える前の状態にワンクリックで戻せる機能です。VMware Playerはスナップショット機能を持ちませんが、仮想的なパソコンのハードディスク内容は特定のディレクトリーに保存されているので、そのディレクトリーを手動で丸ごとバックアップしておけば、バックアップした時点の状態に戻すことが可能です。