IT企業では、営業とSEはビジネスの両輪である。両輪がうまくかみ合って、それぞれが自分の役割をしっかり果たさないとビジネスはうまく行かない。しかし、IT業界の営業とSEの関係は、どこの企業でも難しい。そのため本コラムでは、ここ数回「営業とSEの関係」や「営業との闘い方」などについて書いてきた。

 今回も別の切り口からSEと営業の関係について書こうと思う。その切り口とは、「営業との信頼関係」についてである。営業とSEがチームワークよく協業するには、その根っ子にお互いの信頼関係がなければならない。特に営業に比べて立場が弱いSEは、”営業との信頼関係“が重要である。それがないと決して良い仕事はできない。

 SEが営業に信頼されていないと、困ることが多い。例えばSEが営業に何か頼まれたとする。そんな時にSEが「申し訳ないが今は超多忙だから2日ほど待ってほしい」と言っても、営業にあれこれ文句を言われ、強引にやらされることがよくある。

 また、SEが営業に「そんな提案では技術的に問題がある」と正しい指摘をした場合でも、営業に信頼されていないと無視されかねない。受注後に問題が起きても後の祭りだ。

 残念ながら現実のIT企業を見ると、SEと営業の関係がギクシャクしている姿が散見される。そんな現場を見るたび、筆者は「どれだけの営業とSEが信頼しあって仕事をしているのだろうか」と思う。そして、「ひょっとすると多くのSEは営業に便利に使われているだけではないだろうか」とも思う。

 だが、それでは会社が困る。それは営業とSEが仕事をしても「1+1>2」にはならないからだ(関連記事:“営業との関係というもの”の理解がSEを変える)。では営業は一体どんなSEを信頼するのか。どんなSEなら一目置くのか。どんなSEなら便利に使われないの。それについて筆者の考えを述べる。