この連載では、「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱っている。前回(「説得力を高める」3つのプロセス)では、ネガティブ特性の八つめである「説得力がない、納得感が得られない」について、「説得力を高めるには、戦略、戦術、戦闘の三つについて考えていかなければならない」ことを説明した。ネガティブ特性は以下の通りである。
- 先を読まない、深読みしない、刹那主義
- 主体性がない、受け身である
- うっかりが多い、思慮が浅い
- 無責任、逃げ腰体質
- 本質が語れない、理解が浅い
- ひと言で語れない、話が冗長
- 抽象的、具体性がない、表面的
- 説得力がない、納得感が得られない
- 仕事が進まない、放置体質
- 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
- 駆け引きできない、せっかち、期を待てない
「説得力がない、納得感が得られない」のネガティブ属性を取り上げるのは、今回が3回目であり、最終話となる。
話を振り返ってみよう。筆者と奥田は、「システム開発部門と利用部門が対立し、その調整を命じた部下の奥田が双方を説得できず、プロジェクトが進まなくなった状況」に陥っていた。奥田は転勤してきたばかりで、まだ自分のミッションを十分理解していない状況であった。
開発部門から異動してきた奥田は調整を仕事だと思っておらず、「自分はどうしても説得しなければならない」という強い気持ちを持っていなかった。ここで、奥田を筆者が追い込んだわけである。