「なにかのキーワードがはやったら、猫も杓子も自社の製品にそのキーワードを付ける」…。日本のIT業界では、おなじみの光景である。昨年あたりから、「クラウド」と銘打った製品/サービスが急増したのは、その典型例だろう。

 実際、今や「クラウド」という名称が付いている製品/サービスの数は、1000以上にも及ぶ。この中には、本質的にはとてもクラウドコンピューティングとは呼べないような、いわば「宣伝的クラウド」も相当数含まれる。

 「宣伝的クラウド」とは、ガートナー ジャパンの亦賀 忠明氏(リサーチ部門 ITインフラストラクチャ バイスプレジデント兼最上級アナリスト)が作った造語である(「技術と仕組み」を見極めて、「宣伝的クラウド」を区別せよ)。亦賀氏によれば、宣伝的クラウドが氾濫しているのは、日本特有の現象だそうだ。米国では、ユーザー企業の情報システム部門に相手にされないために、「宣伝的クラウド」はすぐに淘汰されるという。

 では、1000以上にも及ぶクラウド関連の製品/サービスから、自社の競争力強化に最も適した製品/サービスを選ぶには、どうすればいいのだろうか。亦賀氏によれば、単純な機能比較ではなく、「テクノロジーや仕組み」「会社としての考え方や戦略性」といった大枠で、まずベンダーを比較することが重要という。そのためには、情報システム部門の部員自身が、技術や製品の仕組み、ベンダー戦略の違いを理解できるだけの「プロとしての知識」を身に付けておく必要がある。

 プロとしての知識に基づいて、自社の競争力強化にとって最適な技術、製品/サービス、ベンダーを見極め、主体的に選択する---。この能力は、情報システム部門にとって、今後ますます重要になるだろう。ベンダーの提案に依存した「受け身」の姿勢では、本当の意味で、自社の競争力を強化できる技術や製品を選ぶことはできない。

導入プロセスに沿って情報を提供

 ユーザー企業が、技術や製品、ベンダーを主体的に選択するためには、プロとしての的確な知識のほか、効率的に情報収集するスキルも必要になる。だが、やっかいなのは、製品や技術を選ぶために必要な情報の出所が、多岐にわたることだ。IT系の情報サイトの記事が役に立つこともあるし、雑誌の記事がヒントになることもあるだろう。ニュースリリースを見たことがきっかけになることもあれば、ホワイトペーパーやカタログ、事例などのベンダー資料が決め手になることもあるだろう。セミナーや講演が参考になることもある。

 これらの様々な情報が、一つのWebサイトでワンストップに手に入ったら、製品/サービス選びは、ぐっと楽になるはず---。こうしたコンセプトで、新しくオープンしたのが「ITpro Active」である。

 キャッチフレーズは「システム導入のための意思決定サイト」。製品選択ガイドや個別の製品/サービスの情報、カタログ、ホワイトペーパー、事例など、ユーザー企業の主体的な(Activeな)製品/サービス選びを支援する様々な情報を、ワンストップで提供中だ。

 ITpro Activeは、実は、ちょっと変わったページ構成になっている。「クラウド」や「情報セキュリティ」「仮想化」などテーマごとのトップページがあるのは他のIT系情報サイトと同様だが、それとは別に、「検討」(ソリューションを検討する段階)、「比較・選定」(ソリューションを実現するための製品/ベンダーを比較・選定する段階)、「決定・導入」(製品/ベンダーを最終選定する段階)という、導入プロセスに沿った3つのステップに対応したページを用意した。読者の検討状況に応じて、最適なコンテンツを提供するのが狙いだ。

 10月5日のオープン後も、製品/サービス選びに役立つコンテンツを、日々拡充している。10月31日には、新たに「エキスパートに聞く」というコーナーをスタートさせた。これは、読者の皆さんから質問を募集し、各分野のエキスパートが、回答となる記事を執筆・公開するというものだ。

 質問に答えることで自社に最適なソリューションが分かる自己診断コンテンツやニュースリリース、イベント/セミナー情報の掲載など、ITpro Activeでは、製品/サービス選びに役立つコンテンツを今後も充実させていく予定である。製品/サービスの導入を検討する際は、ぜひ活用してほしい。