「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱うこの連載も第4回を迎える。今回は前回に引き続いて、11のネガティブ特性の一つ目である「先を読まない、深読みしない、刹那主義」人をどのように矯正するかを説明したい。11 のネガティブ特性は以下の通りである。
- 先を読まない、深読みしない、刹那主義
- 主体性がない、受け身である
- うっかりが多い、思慮が浅い
- 無責任、逃げ腰体質
- 本質が語れない、理解が浅い
- ひと言で語れない、話が冗長
- 抽象的、具体性がない、表面的
- 説得力がない、納得感が得られない
- 仕事が進まない、放置体質
- 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
- 駆け引きできない、せっかち、期を待てない
前回は、「ダメ常識」を「よい常識」に入れ替えることに成功した高野氏(仮名)を紹介しつつ、ネガティブ特性を排除する方法について説明した。今回と次回で、筆者がかつて学び、現在は講師を担当している塾での事例を交えながら、高野氏に対してマインドセットとスキルセットをどのように指導したかを紹介する。
30分で「成功のための方法」を挙げる
筆者は高野氏に指導するにあたり、筆者がかつて塾長から学んだ人間の行動統制(ヒューマンマネジメント)にかかわる手法を利用した。まず、筆者がどのようなことを学んだかを紹介したい。
この塾では、実践的な行動を伴う様々なカリキュラムを実施していた。まず、「Webサイトを作り、一定期間内に一定量のページビューを獲得する」といったテーマに関して「成功するための仕事の進め方」を原稿用紙に書かせる。時間を30分に区切り、その間にできるだけ多くのやり方を挙げるよう指示される。
狙いは、自分の知識を強制的にアウトプットさせることにある。やってみるとテストを受けているようで、正直なところ、あまり良い気分にはならなかった。
しかし、この方法は非常に有効だった。人は時間を区切られると必死になるものだ。自分がこれまでに蓄えたはずの知識やノウハウ、経験を頭の中から懸命に探し出し、アウトプットしようとする。たかだか30分でも、いくつかのメリットが得られた。
一つは、脳が活性化することだ。期間を区切られた状態でアウトプットを強いられると、塾生はいやでも一生懸命考えなくてはならなくなる。これを繰り返しているうちに、次第に頭がさえてきて、何かを早く思いつけるようになるものだ。
個人差があると思うが、筆者の場合、他人から意見を求められたときに、すぐに返事を返したり、新しいアイデアを考え付いたりできるようになった。