家電量販店のゲーム・ソフト売り場に行くと,「英検」「TOEIC」「漢検」「秘書検定」「日商簿記3級」といった見出しの検定試験向け学習ソフトがずらりと並ぶ一角がある。ニンテンドーDS向けのソフト売り場なら,商品棚の2割程度はこうした検定試験用の学習ソフトや,一般常識を試すようなクイズ形式のソフトだ。初めて見たときは「ゲーム機で試験勉強?」と驚いたものだが,最近はすっかり見慣れた感がある。

 それもそのはずで,矢野経済研究所の調査によると,ゲーム機向け学習ソフトの市場規模は400億円(2009年度見込み)にもなるという。ピークは2007年だったが,ゲーム機で学習するというスタイルはすっかり定着しているとしている。やはり,ゲーム機を使って,気負わず,楽しみながら知識を増やせるところが人気の理由だろう。

 筆者自身は英検や漢検などの学習ソフトを使ったことはないが,似たようなソフトを使ったことがあり,その楽しさはわかる。筆者のお気に入りは「ワインのはじめかたDS」というニンテンドーDS向けのソフト。一からワインを学び,ワイン通(つう)を目指すという内容である。筆者は日本酒とワインが大好きで,(高いものは買わないが)わが家の晩御飯に合うお酒を選べるように,それぞれの関連書籍を数冊ずつ読んだことがある。ただ,そうした書籍は「面白いけど,あえて言えばやや堅苦しいかな」という印象だった。そんなわけで,「ゲーム感覚ならお気楽なのでは?」と,DSソフトを買うことにした。

 実際に使ってみても,「楽しみながら知識を増やす」という点で,このソフトは今まで読んだワイン関連書籍よりワンランク上と感じた。このソフトにはワインの基礎知識を学ぶためのコンテンツも入っているが,そこは今まで読んだ書籍には太刀打ちできないだろうと考えて,ほとんど見ていない。そのかわり,「クイズで学ぶワイン知識」という1セット10問のクイズを繰り返し楽しんでいる。

 どんな問題かというと,出題範囲は結構広い。ドイツやアメリカ,フランスのロゼワインについて,醸造方法やブドウ品種,味の違いなどを問う実用的な問題が続くかと思えば,『映画「昼下がりの情事」で,オードリー・ヘップバーンは「魚に白ワイン,肉には赤,××にはシャンパン」と言ったが,××は何?』(正解は記事の最後を参照)といったウンチクっぽい問題も出る。正解を見ながら「よしよし,これは本で読んだよ」とか「えっ,そうだったの?」と一喜一憂しながら楽しんでいる。

 そして,クイズに繰り返し挑戦する中で,あることに気がついた。答えが不正解だったとき,問題ごとに表示される短い解説を読んでも,何となく欲求不満になるときがあるのだ。そう感じたときは,思わず本棚から関連書籍を引っ張り出して,「確かこの辺に詳しく書いてあったよなぁ」などと調べ始めることがあった。

 お気楽なゲーム・ソフトであっても,それが自分の知識をチェックして,学び直すための良いきっかけになる。クイズを通して,そう思った。DSソフトそのものも面白かったが,一番の収穫はその「きっかけ」だった。

 今月5日からITproで毎日1本掲載中の「selfup検定」(全10ジャンル)にも,若手からベテランまで,「自分の知識をチェックして,学び直すための良いきっかけにしてもらえたら」という思いを込めている。DSソフトのようなゲーム感覚はないが,気楽に挑戦できるところは共通しているだろう。

 今回は,「Windows 7検定」「ビジネスマナー検定」「パンデミック対策検定」「IFRS(国際会計基準)検定」という4つの新しい検定問題を加えた。特にパンデミック対策とIFRSについては,これから取り組んでいくべきテーマであるため,難しいと感じる問題も少なくないだろう。しかし,検定問題ではそれぞれ要所を押さえて出題しているので,ぜひ挑戦していただきたい。また,80点以上の高得点者には,ITpro EXPO 2009展示会の新コーナー「selfup広場」の抽選会で,ノートPCやiPod shuffleが当たるチャンスもある(詳しくはここ)。selfup広場にも,気軽に遊びに来てほしい。


■ワイン知識クイズの正解
 映画「昼下がりの情事」で,オードリー・ヘップバーンが言ったセリフは「魚に白ワイン,肉には赤,恋にはシャンパン」とのこと。みなさんは正解できただろうか。酒の席で使えそうなネタではあるが,筆者には似合わないので使ったことはない。