「システム運用」に代わる新しい呼び名を募集します(関連記事1関連記事2)――。7年前、ある先輩編集委員が本欄に原稿を載せていた。記者も読者の一人として代替名をあれこれ考えた記憶がある。当時は記者に転職して2年目だった。記者になる前は、ある大手企業のシステム子会社でシステムエンジニアとして働いていた。運用の現場を知る身として、先輩をうならせる名案を考えたいところだったが、思い浮かばなかった。

 だがつい先日、ついに思い付いた。といっても7年間考え続けていたのではない。あるプロジェクトに取り掛かったことがきっかけとなって7年前のことをふと思い出し、考え付いたのだ。新しい呼び名を書くのは最後に回すとして、思い出すきっかけとなったプロジェクトについて先に述べる。

 そのプロジェクトとは、日経コンピュータを創刊号から最新号まですべて読み返して失敗事例をまとめたデータベースを作る、というものだ。過去にやったことがない新企画に挑もうという前提で編集長と議論した結果、始めることになった。

失敗事例も、知見が得られればGood News

 プロジェクトの最大の目的は「Good News」を見つけることだ。日経コンピュータは今年から「グッドニュースをお届けする」という編集方針を掲げている。編集長はかつて、日経コンピュータのコラム「動かないコンピュータ」に記事を書くことを生きがいのようにしていたが、この1月に編集長になったとたんに豹変して新方針を打ち出した(関連記事3)。

 失敗事例は、一つひとつをみればGood Newsではないかもしれない。だが、データとして分析し、そこからなんらかの知見を得ることができれば、それは立派なGood Newsである。

 日経コンピュータは最新号(2009年8月19日号)で737号になる。創刊は1981年。記者が8歳のころである。とても一人では全号を読みきれないと編集長に言ったところ、編集長が新人記者を指名、二人で進めることになった。この新人記者はデータ分析に興味があるということだったので参加してもらったのだが、創刊年にはまだ生まれていない。

 二人がかりで全号を読み、集めたダウン事例は505件に達した。これらをシステムダウンの原因や影響範囲、停止時間、動作ハードなどいくつかの観点で分類し、なんらかの傾向を探った。その結果、新しい事実がいくつか浮かび上がった。