前回は,「企画」を文書に落とす際のステップである「固め」チェックのエクササイズの前編を説明しました。今回も前回の続きとして,小島の「研修企画」を具体的に「どうブラッシュアップするか」を考えて行きます。

 今回も“仕事に役立つ7つの科目”の「(1)文書」に関する「説得力を持たせる」がテーマです。

洗い出した疑問,反論を文書に入れ込む

芦屋: 小島,今日も昨日の続きをしよう。自分が考えた企画やそれを文書にしたものについては,冷静に第三者的に考えた質問,疑問,反論をぶつけてみることが必要だ。それはいわゆる「批判的に考えること」ということだよ。
小島: 「批判的に見る,考える」とうことですね。常に,いろんな観点から批判を想定して固めなくては意味がないということですね。
芦屋: それはそうなんだけど・・・きりがないのも事実だな。重箱のすみをつついても仕事が進まないから,「大局で捉えて」前に進んでしまった方がいい。
小島 それは,そうですね・・・
芦屋: まあ,「細かいことを完璧を目指して」考えると目的地にたどりつけない。こういった考えで,昨日出した質問,疑問,反論に答えてほしい。この前の僕が説明したことがまだ,そこのホワイトボードに書いてあるから,あれを踏まえて今からホワイトボードに書き加えてほしい。

●前回,小島からの質問に対し芦屋が回答した内容

(質問1)
・なぜ,この組織ができたのか?
・当時,何が起こったのか?
・芦屋や情報システム部長は何を考え,当時どのような話をしたのか?
(回答1)
  • 4年前,当社の販売経路は,自前から,代理店経路に大きくシフトすることになった。
  • この結果,当社のシステム開発に不具合が生じた。それまでの要件定義作業では上手くいかなくなった。
  • それまでの要件定義は,社内にユーザーが存在し,社内の人に要件を出してもらって,時間とコストの範囲内で優先順位を決めてもらっていた。
  • しかし,代理店(販社)向けのシステムでは,当方から,使いやすいシステム仕様を提案しないと,委託自体ができないことになり,システムを知っている人間に提案書作成能力や,プレゼン能力,販社に行って仕様を固めてくる交渉能力が必要になった。
  • 情報システム部長は,これらのスキルをシステム開発部に短い時間で習得させるのは難しいと考えた。そこで,本社に芦屋を配置し,メンバーを増やしていくことで,これらのヒューマン系スキル,ノウハウをまず,芦屋部隊に付与できる体制にし,システム開発部は,今まで通りのスキルで済むようにした。
  • つまり,面倒で複雑な交渉などは,ブラックボックス化して,専用部隊に集めようとした。

小島: 了解です。とりあえず今の理解で書きます。