当初あまりに意味不明のタイトルを付けてしまったので、タイトルを変更させていただいた。まずはお詫びしたい。

 さて、情報システムの“端末”の将来を妄想してみる。以前ならWindowsパソコンの次はWindowsパソコンで決まりだった。他に選択肢はない。で、今は・・・。そうだ、わざわざ妄想しなくてもモバイル環境では、携帯電話機がその“端末”の地位を確固たるものにした。あのアンドロイドの試作機も登場した。そうするとリッチクライアントはどうなる。シンクライアントの話も盛り上がっているし、これは結構面白い。

 以前、あるITベンダーの若手営業の人と話したことがあったが、彼は営業活動でノートパソコンを使いたくないという。プレゼン上で必要な時を除けば、普段はケータイで自社システムにアクセスする。個人情報保護やセキュリティの観点からというよりも、ノートパソコンなんかを使うより、ケータイの方が圧倒的に速く情報にアクセスしたり、入力したりできるからだという。まあ、こんな話を聞くと、ケータイを使いこなせない私は世代の違いを感じてしまう。

 ノートパソコンを使ったシステムを売るべき立場の人ですらそうなのだから、世の多くの若手ビジネスパーソンは少なくともモバイル環境では、ケータイの方が情報システムの端末として使い勝手がよいのだろう。そんなふうに情報システムの利用シーンが変化している中で、グーグルのケータイ用OS「Android(アンドロイド)」を搭載した試作機が登場した。うーん、かなりのグッドタイミング。

 アンドロイドが面白いのは、単にタイミングの問題だけではない。現状の完成度はともかく、将来的には究極のAjaxマシン、つまりリッチクライアント・マシンに進化する可能性があるからだ。日経コンピュータの2月15日号でも特集していたが、Web化した情報システムの操作性の悪さを改善するために、Ajaxなどリッチクライアント技術を活用しようという動きがある。それにより、グループウエアの操作性を改善するだけでなく、基幹業務系のクライアント/サーバー(C/S)システムをWeb化する可能性が開ける。

 こうした動きに、アンドロイド・ケータイなどのAjaxマシンがピタリとはまる。こうしたAjaxマシンは、なにもケータイの形、つまりスマートフォンである必要もない。ニーズによっては普通のキーボードとディスプレイを付けたパソコンふうのハードにしてもよい。そう妄想すると、グーグルの狙いの筋の一つも見えてくる。企業情報システムにも、そしてSaaSにも対応できるAjaxマシン、これはなかなか魅力的な将来像だ。

 一方、シンクラアントの動向も面白い。以前ならセキュリティの観点から、C/Sシステムのクライアント・ソフトのみをサーバーに“縮退”させるのが、シンクライアントの基本発想だった。だが、今は違う。仮想化技術やブレードなども活用し、パソコンのデスクトップ環境も含めてサーバー側に持っていってしまう。クライアント側の専用端末なんかも登場してきた。

 そんなわけで、今はもう久しぶりと言っていいぐらいに、情報システムのクライアント・サイドの技術/製品トレンドが面白い。ITベンダーなどサプライサイドにとって、久しぶりにわくわくする時代がやってきたわけだ。そんな中、多くのユーザー企業は今、オフィスに大量導入したパソコンをWindows Vista環境に切り替えるべきかどうかで悩んでいる。ITベンダーとしてどんな提案ができるのか、これはちょっと考えどころだ。