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芦屋広太一つ上のヒューマンマネジメント

5分で人を育てる技術 (22)“はじめて部下を持つ人"への5つのアドバイス 

芦屋 広太=ITpro Watcher 2007/07/25 ITpro

 前回は,部下を持つことで混乱している坂本に上司としてどう行動していくべきかを伝えました。そして,私は彼に“はじめて部下を持つ人"への5つのアドバイスをすることにしたのです。

 坂本は,中堅社員ですが,長く部下を持たなかったので,自分のことだけを考えていれば済みました。しかし,今後はそれでは済みません。彼にはしっかり部下の面倒を見てもらい,組織マネージメントを身に付けてほしいからです。

 坂本に限らず,多くの人は部下を持つとそれまでとは違った苦労をします。自分だけで精一杯なところに,知識も経験も劣る部下の面倒も見なくてはならないのですから,その大変さは誰でも理解できるところでしょう。

 しかし,組織で力を出していく以上,部下の戦力化は避けて通れない道です。どうせやらなくてはならない部下マネージメントなら,しっかりとした「やり方」を身に付けたいものです。まず,私はこれを坂本に教えなくてはならないと思いました。

「なんとなくできてしまう」ことは非常に怖い

芦屋: 坂本,5つのアドバイスをする前に理解しておいてほしいことがある。それは,仕事のやり方には「よいやり方」と「平凡なやり方」があるということだよ。

坂本: そうですね・・・よいやり方とは「効率的」,「工夫」,「ノウハウ」,「テクニック」,「秘伝」という感じでしょうか。芦屋さんがいつも言っているような。

芦屋: そう。君には平凡な仕事のやり方ではなくて,よいやり方を絶えず探していく努力をしてほしい。闇雲に頑張るのではなく,工夫をしてほしいんだ・・・無駄な努力という言葉はあるが,無駄な工夫という言葉はない。

坂本: はい。

芦屋: 抽象的な言い方で悪いが,要はすべてにはノウハウがあるということだよ。それを他人に教えるのが教育であり,育てるということ・・・そして,この中で難しいのが非技術系のスキルを教えるということなんだよ。これを理解しておいてほしい。

坂本: 非技術系のスキルが難しい?

芦屋: そう。部下マネージメントに限らないのだけど,いわゆる「ヒューマンスキル」,「コミュニケーションスキル」は,技術系のそれと違い「誰でも見よう見みまねでできてしまう」という辛い特徴があるんだ。これが仕事能力が上がらないことの一つの原因となっている。例えば,「コミュニケーション能力」というものを考えてみよう。人と会話できない人はほとんどいない・・・誰でも人と話せるし,話し合いができるんだ。同じように,誰でも文書を書くことができ,誰でも部下と一緒に仕事をすることができる・・・ただ,それが上手くできているかは別問題だけどね。

坂本: そうですね。

芦屋: 経験が豊富な,優秀な人が見れば,平凡なコミュニケーションやマネージメントと素晴らしいコミュニケーションやマネージメントの違いは歴然だ。でも,どんな組織にもその差が分かる人がいるわけではないんだ。この結果,非技術系のスキルは向上することなく,いつまでも平凡なものになってしまう可能性が高い。僕はそんな人や組織を数多く見てきたよ。

坂本: 確かに,技術系の教育は一生懸命やるけど,非技術系の教育はあまりやりませんよね。「本人が頑張るしかない」みたいな話が多いですよね。

芦屋: そう。それが問題なんだ。誰でもできるからこそ,上手くできていないことに気づかない・・・これが,非技術系能力の辛いところなんだよ。一方,技術系の知識がなかったり,スキルが身についていなければ何もできない。何もできないなら害はないのだけど,なまじできてしまうと害になる場合が多いんだ。だからこそ,非技術系で大事なのは,「よい方法を知り,それを他人に上手く教える」ことができることなんだ。だから,まず,「多くのノウハウ,テクニックを知ること」,そして,同じくらい「教える技術を知ること」が重要になる。部下ができれば,ますます教える技術が必要になることは分かると思う。

坂本: まず,「多くのノウハウを知る,そして教える技術を知る」ことですか。

芦屋: そう。それらを踏まえて5つのアドバイスをしていくよ。まず,
(1)部下を便利な作業者と思ってはいけない。あくまで自分で考えて,自分の責任で部下に任せなくてはならない。
これは,どういうことか分かるか?

坂本: 前回聞いた「丸投げ」禁止の話ですよね。

芦屋: そう。部下の仕事は絶えず理解しておかなくてはならない。自分の能力向上のため,部下が困ったときに助けるために自分で考えて部下に任せる。責任は上司が取る。これが重要だよ。

坂本: それが正論だとは思うのですが,忙しくてすべてがまわらないことも多いのでは。理想論という気もしますがどうですかね・・・

芦屋: まあ,そういう意見もあるな。でもこれだけは覚えておいてほしい。部下の不手際は上司の責任と見なされるから,部下にさせていた仕事で問題が発生したとき,「部下がやっていたので私はあまり・・・」と言ったら君の評判は失墜し,評価は落ちるよ。

坂本: ・・・

芦屋: まあ,逆に言えば,部下に丸投げしている他部門の上司を責める理由に使えるけどな。坂本,会社は怖いぞ。いろんなところで責める理由を探している人もいる。後ろ指さされないように行動したほうがいい。

坂本: 怖いな・・・。

芦屋: では次,
(2)短い期間でも放っておいてはいけない。報告,相談,連絡を密にしなくてはならない。
部下は思うように動いてくれないと考えてほしい。「指示したからできるだろう?」では絶対にイメージ通りに動けないものだよ。

坂本: そういうものでしょうか?ある程度経験がある部下ならば,説明すれば,それなりに自分のイメージ通りにできるのでは?

芦屋: 甘いな,坂本。君だって僕のイメージ通りには動けない。でもそれは他人だから当たり前なんだ。ただ,上司としては仕事の完成イメージをあわせたい。そこで,君になんとか僕のイメージ通りに動いてもらえるように,僕は毎日何回も君と会話をしているんだよ。上司と部下は他人。だからそのままでは仕事のイメージは一致しないんだ。でも,イメージを一致させることは可能だ・・・それは,一緒に完成させた仕事を増やすことだ。完成させた仕事が多くなってくると,上司と部下のイメージは一致しやすくなる。最近,岡田や君に僕が「あのときのやり方だ」とか「東さんを説得したときの話法で」とか言っても通じるのは,完成した仕事の数が増えて,それらの仕事イメージを共有化できているからさ。

坂本: なるほど,上司と部下の息が合っているとは,そういうことなのでしょうね。

芦屋: そう。そういうこと。「過去に一緒に完成した仕事を多くもつほど,将来の仕事のイメージも合うようになる」ということなんだ。だから,この状態になるまでは,毎日少しの時間でもいいから,定期的に会話をすること。これをしないと,とんでもない仕事の結果がでてくるんだ。

坂本: そういうことですか・・・

芦屋: 3つ目は,
(3)部下とのルールを決めなくてはならない。
君や岡田ともこれは実施しているのだけど,「部下と上司はルールを共有化しなくてはならない」。例えば,「文章の書き方は主張と理由をセットにしてほしい。無駄な修飾語はいらない」,「報告は結論から」,「問題は事象と影響と解決策をセットで説明してほしい」などだ。これを先にルール化して,上司から部下にお願いしておいたほうがいい。これを守らなければ注意する。決めたルールに違反したのだから,注意しても「すみません」となるんだよ。でも,ルールがなくて,場当たり的に注意すると,部下は何が悪いのか理解できない。それでは,部下の不満がたまるんだ。

坂本: だから,細かいルールを決めていたのか・・・

芦屋: 基本的には,決めるルールは仕事を上手く進めるためのノウハウだと思ってほしい。例えば,僕は他人を説得するための文章で「できるだけ簡単に他人を説得できる理由を書け」と言うよね。これが君たちとのルール。誰もが納得できる理由が一つあればいい。2つも3つあると,かえってうそ臭い。こうやって,説得できる可能性が高い仕事のやり方を,誰でもできるようにルール化して部下である君たちと共有化しているんだ。

坂本: 非常に分かりやすいです。

芦屋: 4番目は,
(4)指導の際には何が悪いのか,良いのかを納得させる説明をしなくてはならない。
これは分かると思う。今,君に話していること。僕がどう考えて,何をしているのか。その理由を君にできるだけわかりやすく説明しているつもりなんだ。ルール化の話もそう。はじめにルール化していれば,守ったか,破ったか客観的に判断できる。当然,ルール化していない新しいことも発生するけど,「君の考えは,こういうケースで問題がある。だからやめた方がよい」という具合に,具体的に何にリスクがあるか,どんな問題が起こりそうかをわかりやすく説明し,それで良い悪いの判断をする。そうしないと,部下は何がよくて,何が悪いのか分からないから,次回以降に改善できない。当然,上司が常に正しいとは限らない。それでも,上司は判断し,結果に責任を持たなくてはならない。「分からない」じゃ済まないのが上司なんだよ・・・「分からない」と判断を放棄すれば,やはり他の管理職から批判されるから,これも後ろ指をさされる駄目行動と見なされる。

坂本: これも怖いな・・・

芦屋: 最後は,
(5)仕事上の思想を持たせるようにしなくてはならない。
僕はこれが一番大事だと思う。つまり,大きな思想をもって仕事を考えてほしいということだよ。自立した仕事をするということ。ミッションを正しく捉える力を身に付けるように指導しなくてはならない。

坂本: 思想やミッション・・・ですか,少し分かりにくいですね。

芦屋: これができていないといちいち細部まで指示しないと仕事が進まない。例えば,提案書を部下に書いてもらう場合,自立していないと,すべてに指示が必要になる。訴求力をもった言葉はどう書くのか,文字の大きさや,分かりやすさはどうするのか。こんなことをすべて指示していたら上司は破綻する・・・そうではなく,常に「お客さまはどうしたら読んでくれるのか」,「分かりやすい文章とは何か」「見やすい文字の大きさはどれくらいか」という仕事の目的を考えて,提案書を手段とするように考える指導をしなくてはいけない・・・これも,毎日5分でもいいから,会話をして,上司の考えを徹底して理解させることが必要なんだ。坂本,部下も大変だと思う。だけど,上司も大変だ。どうせ,部下も上司も大変なら,最も効率的な仕事のやり方を選んでほしい。それが,君の部下を楽にすることになるんだよ。

 坂本には,こんな話をしました。

「上司と部下の関係にもノウハウやテクニックがある。」
「上司は常によい仕事のやり方を考え,それをルール化して部下と共有化していくことが必要である。」

 これを坂本がどう受け止めるかは,最終的には坂本の判断です。しかし,私は上司として,坂本に部下を付ける判断をしました。だからこそ,上司としての坂本に成功してもらうために,坂本に私のノウハウを伝える必要があったのです。


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