| 岡田: | 戸塚さんは前のめりで聞いてましたね。戸塚さんて自信家っぽくて,「俺は自分の思うとおりに行動するぞ」って感じのタイプじゃないですか。でも,芦屋さんの話をじっくり聞いて会話してました。今の芦屋さんの話しから言えば,この話・・・販売話法を出力するシステムの失敗事例というか,上手くいかなかった話が,戸塚さんの興味に直結していたからということでしょうね。そういう意味で,「自分の興味ある話」なら,喜んで話を聞き,脳に記憶させてしまい,判断に影響を与えられてしまうということですか?
|
| 芦屋: | そう。そういう理解で正解。ところで坂本,他に気づくことは?
|
| 坂本: | どうですかね。よく分からないな。
|
| 芦屋: | 了解。では聞いてほしい。俺は,戸塚氏の話を直接的に否定していない。全部,過去の事例を話しているだけ。だけど,戸塚氏は自分で「もう,いいや」と言っている。このケースでは,戸塚氏に直接「上手くいかないからやめた方がいい」というよりも,上手く断れる可能性が高い。彼が「自分で決めて」いるからな。
|
| 坂本: | 確かに・・・それはその通りだと思いますよ。でも,そういう情報は誰でも与えられるわけではないのでは?
|
| 芦屋: | そんなことはないよ。誰でも失敗経験,上手くいかなかった経験がある。これを話法として整理しておくことが必要なんだ。「機能が複雑すぎて動かなかった。その結果,本番が遅れて,担当者が上司から叱咤された。」,「現場に下ろしたら,操作が難しすぎて文句言われた」とか,自分の経験が基本になるけど,上司や先輩,雑誌で読んだ話でもいい。要は,話法として準備することだよ。俺に特別な経験があるわけじゃない。でも,俺は話法として整理してきたよ。そういうことをすれば,説得的会話は上手くなる。
|
| 坂本: | そういう話ですか。面白いですね。そういう技術を身につければ,どんな人も説得できるのですね。
|
| 芦屋: | そうだな。そうなら楽でいいだけど・・・残念ながら,違うんだ。「これは断りずらい」,「説得が難しい」というケースもたくさんある。これがまた厄介なんだよ・・・
|
| 岡田: | 「これは断りずらい」,「説得が難しい」というケース?どんなケース?私には,区別がつかないですね。
|
| 芦屋: | 岡田,坂本・・・いいか。よく覚えておいてほしい・・・今回の話で,「説得的会話では,情報を上手く与えて判断に影響を与えることが必要」という話をしている。これはいいよね?
|
| 岡田: | はい。
|
| 芦屋: | この方法が上手くいくのは,「真の要求者=聞き手」のケースなんだ。つまり,要求を出している真の依頼者が会話に参加していることが前提。「真の要求者=判断者=聞き手」・・・聞き手と判断者が同じ人だから,「聞いた情報が判断に影響を及ぼす」ことになる。
|
| 岡田: | それは,そうですね。
|
| 芦屋: | でも,「真の要求者≠聞き手」ではこれは成り立たない。要求を出している真の依頼者が会話に参加していない場合のケースだよ。「真の要求者=判断者≠聞き手」の場合・・・「直接聞いていない情報」はどうしてもインパクトや信憑性に劣るんだ・・・そんな状態で,判断に影響を与えるのは難しい。ところで,このケースは,具体的にはどんなケースがあるかな・・・坂本,分かるか?
|
| 坂本: | 聞き手と真の要求者が違う・・・上司が部下を使って交渉させているケースですね。
|
| 芦屋: | そう。このケースはよくあるケースだけど,実は説得という面ではきついんだよ。上司からいわれたことは自分の一存では引っ込められないから,交渉の場で何を言っても効果がない。交渉相手を納得させることができることでは駄目なんだ・・・その向こうの「見えない上司」を動かすことが必要になる。
|
| 岡田: | 難しいですね。
|
| 芦屋: | そう,戸塚氏や,東氏を説得するのは難しくないんだ。なぜなら,いつでも会話できるからな。会議でもいい,電話でもいい。とにかく,情報を直接与えることができるからだよ・・・でも,その後ろにいる上司・・・部長や役員は簡単に説得できない・・・会って直接情報を与えることが難しいからな。
|
| 岡田: | ・・・今回,そうなったら・・・戸塚氏や東氏の上司が要求を出してきたらどうすればよいのでしょうか?
|
| 芦屋: | まあ,方法はいくつかある。一つは部下である戸塚氏,東氏を完全に我々の味方にすることだな。二つ目は,上司と直接会える環境を整えること。これには,こちらの部長級,役員級の使い方が重要になる。もっと効果が高いのは,先方の部長級,役員級が非常に喜ぶ仕事をやってあげることさ。彼らの評価が高まるような,先方の社内的にも,世間的にも評価される仕事をすることだな。まあ,これらについては,近いうちに君らに見せる機会もでてくるような気がするな。 |