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Winny裁判の判決に思うもう去年の話題になってしまいましたが、Winnyの作者である金子勇氏に対する裁判で12月13日、150万円の罰金判決が出ました(参考記事:【速報】Winnyの開発者,金子勇被告に有罪判決、【続報】金子氏サイドがWinny裁判報告会,「判決には納得いかない,今日中に控訴する」)。今回は、この裁判について私の考えを書きたいと思います。 私が通う筑波大学には、ソフトウエアを作ることが大好きな人がいっぱいいます。空気を吸うのと同じ感覚でプログラミングしているように見えるくらい、ソフトウエア作りは日常に溶け込んでいます。プログラミングが数週間できなくなると、イライラしたり、体調が悪くなる人もいるのです。 プログラミング好きの友人や私から見ると、今回の判決は素直によかったと思います。プログラミング自体を制限する内容ではなく、技術は中立だと認めたからです。パソコンのハードディスクの中身を破壊し、復帰不可能にするウイルスのようなプログラムであっても、私はそのプログラムを作ること自体を違法にしてはならないと思います。自分のコンピュータの中だけで作るだけなら構わないはずです。 「作ってみたい」「プログラミングをしたい」という気持は誰でも持ちえるものですし、その気持ちを禁止されることは、私達のようなプログラミングをしないと生きていけない人には死ねと言っているのと同じです。ですから今回、プログラミングする自由を侵害するような判決が出なかったことは素直に喜びたいと思います。 一方で、Winnyや私が開発した「AsagumoWeb」のようなP2P型のネットワークプログラムには、別の問題があるかなと思います。通常のソフトウエアの場合、ソフトウエア開発は一つのコンピュータの中だけで完結します。ところが、ネットワーク・プログラミングの場合、通信相手も同じソフトウエアを利用するため、一台のコンピュータだけでは完結しないのです。自分のコンピュータの中で作っているだけなら、どんなソフトウエアを作ることも許されるべきだと言いましたが、ネットワーク型のソフトウエアでは自分のパソコン一台だけで作るというのは難しいのです。例えば、Winny級の巨大なネットワークを持つプログラムを作ろとしたら、50万台以上のコンピュータにプログラムを配布する必要があります(参考記事:「YouTubeに流れた?」---Winny稼働マシンの数が減少傾向)。 今回の判決では、自分が配布したソフトウエアを放置したことが罪であるような言及がありました。これは配布したソフトウエアに対して、一定のメンテナンスが求められていると思います。例えば、Windowsを作っている人が、Windows Updateを作る必要があるとか、知られているセキュリティホールを修正しないといけないという状況に似ています。 余談ですが、SPAM(広告)メールの多くがセキュリティ・ホールをふさいでいないプログラムから侵入したBotによって送信されているようです。今後は、このようなセキュリティ・ホールをふさいでいないプログラムに対する罰則もできるのではないかと思います。 多くの人にプログラムを配布すると、常にセキュリティ・ホールをふさがなければならないなどの制限ができると、Winnyのようなネットワーク・ソフトウエアを個人が作るのは難しくなります。なんとか、人に迷惑をかけたり、裁判沙汰になったりせず、Winnyのような大規模ネットワークを持つプログラムを作れないものでしょうか。 連載新着記事一覧へ >>
著者プロフィールSkypeまとめサイトSkypeやろうぜ」の管理人。プログラマの観点からSkypeを解説し,新しい使い方を提案している。Skypeの技術を解説した『入門 Skypeの仕組み』(日経BP社刊)の著者。筑波大学の学生で,4月からは大学院に進学。サークル活動をしたり,学生ベンチャー「ソフトイーサ」の副社長を務めたりとドタバタな大学生活を楽しんできた。この記事へのコメントはSkypeやろうぜ内のページでも受け付けています。また,このITproWatcherへの連載のきっかけとなった連載記事『Weekend Special』(2006年1月13日から毎週金曜日更新)のバックナンバーはこちらへどうぞ。 |