米Microsoftは8月21日(米国時間),Windows Vistaのリリース・スケジュールに変更がないことを明言した。Windows Vistaは2006年11月に企業向けの製品が,2007年1月に消費者向けの製品がリリースされる予定だ。しかし,9月の早い時期にリリースされる予定の「製品候補版(RC1,Release Candidate 1)」の開発は難航している。当初RC1になるはずだった「ビルド5520」が破棄されたのだ。

 Windows Vistaのリリース・スケジュールに関するMicrosoftの公式声明は,予想外の方面から発せられた。Microsoftの中国担当コーポレート・バイス・プレジデント兼CEOであるTimothy Chen氏が「今のところ,Windows Vistaのリリース・スケジュールは変わっていない。要するに,スモール・ビジネス向けと消費者向けのWindows Vistaは,(2006年)第4四半期の終わりと1月の終わりにリリースされる」と語ったのだ。この発言は筆者の既報「Microsoftは依然として2006年10月のVista完成を目指している」を裏付けるものだ。Microsoftは「Windows Vistaの出荷はスケジュール通りに行かない」という広く認識されている意見に反発している。

 しかしながら,Microsoftの社内では,Windows Vista RC1を9月の早い時期にリリースするための苦戦が続いている。当初,RC1としてリリースされる予定だった「ビルド5520」に2つの重大な問題があることが分かり,Microsoftは新しいバージョンの「ビルド5536」に移行せざるを得なくなった。関係者によれば,Microsoftは8月22日に,ビルド5536を社内向けにリリースしたという。

 伝統的に,Microsoftはソフトウエア製品のRCビルドのことを,最終版の候補だと思って開発していた。しかし,MicrosoftはWindows Vistaの最終版を,10月のどの時点で確定するかいまだに決定していない。つまり,Windows VistaのRC1バージョンが,どのビルドであれ,最終版にならないことだけは明確である。RC1はBeta 2より完成度が増したパブリック・マイルストーン---という位置付けである。