英Sophosは現地時間8月21日,特定企業の株価を吊り上げるような偽情報のスパム(迷惑メール)を配信して不正に利益を得ていた米国の夫婦が,米証券取引委員会(SEC)に詐欺の疑いで告発されたことを明らかにした。この夫婦は吊り上げた株を売り抜けることで,およそ100万ドルの利益を得たという。

 特定企業の好業績などを伝える偽の情報で株価を吊り上げて,安いうちに購入しておいた株を売り抜ける違法な手口は「pump-and-dump campaign」などと呼ばれる。この目的で配信される偽情報を記載したスパムは「pump-and-dumpスパム」や「株スパム(stock spam)」などと呼ばれる。現在,pump-and-dumpスパムは大量に出回っており,Sophosによると全スパムの15%を占めているという(関連記事:スパムの15%は「風説の流布」)。

 今回告発された夫婦は,このpump-and-dumpスパムを使って不正に利益を得ていた。夫婦は2004年9月に「WebSky」という企業の株を大量に取得。その後,「アルゼンチンでの投機が成功したおかげで,同社の年利益は4000万ドル以上になった」といった内容のメールを不特定多数に配信して株価の吊り上げを図った。実際には,WebSkyは設立されたばかりの企業で,利益は出ていなかった。

 その後,偽情報のメールが“奏功”し,同社の株価は3倍以上になったという。そこを見計らって株を売り抜けることで,夫婦は100万ドルの利益を得た。

 Sophosによれば,pump-and-dumpスパムは,インターネットの犯罪者にとって,ますます魅力的になっているという。一度に大きな利益を得られる可能性があるためだ。このため同社では,メールで企業情報や株価情報が送られてきても安易に信用しないよう注意を呼びかけている。

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