WinHEC 2006のブレークアウト・セッションで使われたプレゼンテーション
 米シアトルで開催中のWinHEC 2006の基調講演では64ビット版OSが声高にアナウンスされていたが,その裏では32ビット版のサーバーOSが終えんを迎えることも明確になった。2007年第2四半期に製品化が予定されている次期サーバーOS「Windows Server Longhorn」では32ビット版も提供されるが,それが最後になる。2008~2009年に提供される予定のWindows Server Longhorn R2は,64ビット対応版しか出ない。

 この64ビット化を機に古いアーキテクチャのサポートはどんどん打ち切りになっていく。例えば,Longhornはユニプロセサ用HALがなくなり,ACPIに未対応システムは動作対象外になる(Vistaも同様)。PC ATの登場から20年以上使われ続けてきたBIOSもOSを起動するという役目を終え,UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)という新しい仕様を使うのが前提になっていく(関連記事:「AT互換はもう死語,64ビットOSは徐々にBIOSやVGAを捨てる」参照)。

 逆に64ビット化に合わせてWindows Serverは,エンタープライズ市場に向けた機能を拡充していく。実際,今回のWinHEC 2006でも,サーバー向けのブレークアウト・セッションはほとんどがエンタープライズ市場向け機能や仕様の話である。Longhorn以降に拡充される予定の新機能としては以下のようなものがある。

  • Kernel Driver Signing
    • 署名のない64ビット・デバイス・ドライバはロードしない(Longhorn,Vistaとも)
  • PatchGuard
    • root kitsやマルウエア対策としてシステムにパッチを簡単に当てられないようにする
  • PCI Expressへのネイティブ対応
  • Dynamic Partitioning(関連記事:「無停止サーバーを目指すDHPの姿が明らかに」参照)
    • 信頼性や可用性を確保するためにシステム・デバイス群を区分けして管理し,障害がシステム全体に及ばないようにする
  • メモリー管理の強化
  • レジストリの強化
    • Transactional Registry
    • Registry Virtualization
  • システム・サービスの堅牢化
    • 最低限の特権でサービスを実行する
    • 必要最小限のリソースを利用する