OSは32ビット対応だが,パソコンを起動した直後は16ビットのコードが書かれた小さなプログラムが動く。そう,BIOSだ。そして,ハードウエアを初期化したりしたあと,OSをロードして主役をOSにゆずる。この間は,どんなに高解像度なディスプレイを使っていても640×480ドットのVGA画面が表示される。これは20数年も前にPC ATが発売された当時から変わらない仕様である。しかし,Longhorn以降の64ビットOSでは,こうした仕様を徐々になくす方向へ動き出している。


 WinHEC 2006では,OSの64ビット化に向けた新しいコンピュータ・アーキテクチャを語るブレークアウト・セッションが多数設けられ,その一つとしてパソコンの根幹であるBIOSの扱いに関するロードマップが提示された。それによると,実はすでに一部でBIOSとVGAを使わないシステムが出ているという。それはIA-64マシンでWindows Server 2003を使うケース。この場合,コンピュータは電源投入直後にEFI(Extensible Firmware Interface)という仕様に沿ったファームウエアをロードする。


 この流れはどんどん進み,64ビット対応のLonghornでは主流になる見込みだ。ただ,クライアント向けOSのWindows Vistaは64ビット化されたものでも,当面はBIOSを使う。流れは,BIOSとVGAを捨てる方向にあるのは確かだが,その流れは緩やかなようだ。