英国上位裁判所はインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)に対し,ソフトウエアを違法にコピーした150人の顧客データの提出を命じた。ソフトウエアの違法コピー防止に取り組む英国団体Federation Against Software Theft(FAST)が英国時間1月30日に明らかにした。

 FASTは過去1年間,ソフトウエアを違法にコピー/共有しているユーザーを取り締まるために調査を行っていた。ユーザーの大半は偽名を使用しているが,今後2週間にISPが提出する顧客データにより,本名,住所,生年月日などが明らかになる。FASTはこれらのデータをもとに民事訴訟,または刑事訴訟に持ち込むという。

 顧客データの提出を求められたのは,イタリアのTiscali,英British Telecommunications(BT),英Telewest Global,英NTLなど10社。

 FAST事務局長のJohn Lovelock氏は,「違法コピーの共有に使われているリンクを削除するのは簡単だが,数時間後には別のリンクが現れるので根本的な解決にはならない」と説明する。「知的財産権の違法コピーを防ぐには,違反者を摘発して厳罰に処することが必要だ」(同氏)

 英国ではソフトウエアなどの著作物を違法に共有した場合,2年以下の懲役または無制限の罰金が科せられるという。

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