2009年度の総IT投資予算平均額は約4040万円，「予算ゼロ」は12月調査から7ポイント減少

　日経マーケット・アクセスが3月中旬に行った企業情報システム担当者調査で，回答者が執行・承認権限を持つ2009年度（2009年4月～2010年3月期）のIT予算規模を聞いたところ，「平均の予算額（予算平均額INDEX）」（算出方法は下の「調査概要」参照）は約4040万円だった。3カ月前に実施した前回2008年12月調査での2009年度の予算額（予測）の平均値約4110万円と比べ約65万円（約1.6％）減で，ほぼ同水準と言える。

　回答の内訳を見ると，今回の調査での「予算ゼロ」の比率は13.1％で，3カ月前の調査での20.4％から約7ポイント減った。ただし4月20日付け記事で紹介した2009年第1四半期（2009年1月～3月）のIT予算についての回答傾向と同じく，「予算ゼロ」の回答者の比率が減少した分，次に小さい「100万円未満」の比率が拡大。3カ月前の調査より9ポイント強増えた。「100万円以上…」の各選択肢の比率は3カ月前の調査とほぼ同じか微減で，全体の平均値は3カ月前の調査とほぼ同じという結果になった。

「全社」予算は3カ月前より11％増，「全社以外」は13％減

　図示していないが，「全社システムの予算に執行・承認権限を持つ」回答者（n=245)の2009年度予算の平均値は約5510万円で，3カ月前の調査での2009年度予算の平均約4960万円に対して約11％増えた。しかし，これも4月20日付け記事で紹介した2009年第1四半期予算についての回答傾向と同じく，「全社以外（部門，事業所，ワークグループ）のシステムの予算」に執行・承認権限を持つ回答者（n=229)の今回の平均額は約2470万円で，2008年12月調査での約2840万円と比べると約13％減であった。

　各回答企業の2009年度のIT投資予算は，2008年12月調査の時点での“見込み”から，2009年3月調査時点では確定段階に進んだと考えられる。この過程で，IT予算全体の規模はほとんど変わらなかったものの，「全社システムの予算」には積み増しが行われ，そのシワ寄せからか，部門や事業所が権限を持つシステムの予算がカットされた。2009年1月～3月期に続き4月以後も，部門や事業所単位のシステム構築は弱含みで推移し，回復には時間がかかりそうだ。

■調査概要
　日経マーケット・アクセスが，ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち，何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に，執行・承認の権限を持つシステム予算の総計を聞いた。
　新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
　本文中の「平均の予算額（四半期予算平均額INDEX）」は，選択式（最も近いものを1つ選ぶよう求めた）回答の，「本四半期はゼロ」を0，「100万円未満」を50万円，「100万円以上300万円未満」を200万円，「300万円以上1000万円未満」を650万円，「1000万円以上3000万円未満」を2000万円，「3000万円以上5000万円未満」を4000万円，「5000万円以上1億円未満」を7500万円，「1億円以上3億円未満」を2億円，「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
　調査実施時期は2009年3月中旬，調査全体の有効回答は3097件，「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務（企画立案・設計・開発・運用・予算承認など）を担当している」とした実質的な有効回答は1204件。

図●来年度（2009年4月～2010年3月）のIT投資予算額（回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額，n=474）