調査内容 システム分野別IT支出額の「金融危機以前の計画」比
調査時期 2008年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3229件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システム担当者を対象に2008年12月に実施した調査で,2008年第4四半期(10月~12月)のIT予算執行(支出)額が2008年9月の金融危機以前の計画と比べてどう変わったかを聞いたところ,全分野が計画に対して10%以上減らされており,最大は業務アプリの「SCM系」の20.0%減(「その他」分野を除く)だった。

 回答者の担当・関与している情報システムを業務アプリケーション8分野(および「その他の業務分野」),システム・インフラ7分野(および「その他のインフラ分野」)などに分けて聞いた結果,業務アプリ系は10%~20%減,インフラ系は10%~15%減,「新規システム開発」や「既存システムの再構築」は約15%減。「ハードウエア購入」は16%減。「経営戦略系」「ソフトウエア購入」の約18%減と「SCM系」の20.0%減がやや突出しており,残り17分野(「その他」分野を除く)は概ね10%~15%減におさまっている。

 回答の内訳を見ると,全分野とも「危機以前の予算通り」という回答の比率が最も高い(最低は「SCM系」の59.4%,最大は「人事・給与」の81.7%)。この点から見ると6割~8割のユーザーは,2008年9月の金融危機の影響は2008年第4四半期(10月~12月)段階ではまだ,具体的なIT支出のカットに踏み切っていない。

ストレージ,ソフトウエアなどで「支出ゼロに変更」が約1割

 最も厳しい「支出ゼロに変更した」という回答の比率では,「ストレージ系」が11.5%で最も高率,以下「SFA・営業系」10.4%,「運用・危機対策系」9.9%,「人事・給与」9.8%,「ソフトウエア購入」9.8%,「ハードウエア購入」9.7%までが約10%でほぼ並んでいた。

 「支出ゼロに変更」と「75%以上減額」の回答の比率の合計では,「SCM系」の14.1%を筆頭に,「ハード購入」12.9%,「経営戦略系」12.5%,「ストレージ系」12.2%,「ソフトウエア購入」11.6%,「運用・危機対策系」11.4%,「SFA・営業系」11.2%の順。この合計比率が低い分野は「アプリケーション(システム)間連携基盤系」の6.7%,「運用・保守開発」と「インターネット系」の7.8%がトップ3(「その他」分野を除く)だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,「回答者が担当・関与しているシステム分野の2008年10月~12月四半期の投資執行(支出)額が,2008年9月の金融危機以前の計画と比べてどう変わったか」を聞いた。
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。
 本文と図中のパーセンテージは,選択式回答の「支出ゼロに変更した」を-100%,「75%以上減額した」を-87.5%,「50%~75%減額」を-62.5%,「30%~50%減額」を-40.0%,「15%~30%減額」を-22.5%,「5%~15%減額」を-10.0%,「危機以前の予算通り」を0.0%,「危機以前の予算より増額した」を+10.0%に換算して加重平均した値である。
 調査実施時期は2008年12月中旬,調査全体の有効回答は3229件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図●最新四半期(2008年10月~12月)のシステム投資~金融危機以前の計画比
図●最新四半期(2008年10月~12月)のシステム投資~金融危機以前の計画比