調査内容 システム・インテグレーターが手がけるインフラ系分野の認知率
調査時期 2007年10月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2173件(877件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った,国内の主なシステム・インテグレーター(SIer)68社の手がけているインフラ系のビジネス領域7分野(「調査概要」を参照)の認知度調査の2007年10月版では,前回7月調査と比べて,情報系(全68社の平均認知率38.1%,前回は28.8%)とネットワーク系(評価対象全68社の平均認知率29.3%,前回も29.3%)以外の5分野の認知度が,軒並み3~10ポイント近く低下した。

 その中で,NTTデータが7分野の平均認知率で33.9%を獲得。前回(41.9%)からスコアは大きく落としたものの,平均認知率トップを守った。ただし前回NTTデータは,インフラ系全7分野で上位4社以内に君臨していた。今回は情報系,連携基盤系(全68社の平均認知率21.7%,前回は26.4%),運用・危機対策系(全68社の平均認知率18.4%,前回は22.1%)の3分野で,NTTデータがトップ5から陥落した。

 7分野の平均認知率では,2番手にNECシステムテクノロジー(30.8%)が浮上。トップ5に入っているのはセキュリティー系(全68社の平均認知率20.3%,前回は26.0%)だけだが,インターネット系(全68社の平均認知率21.1%,前回は24.4%)やストレージ系(全68社の平均認知率14.4%,前回は17.6%),運用・危機対策系でも上位10社に入り,インフラ系での“オールラウンダー”と評価された。

東芝系SIerがインフラ分野の認知で富士通,日立,IBM系を上回る

 7分野の平均認知率の3番手は日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J,同30.1%),4番手は伊藤忠テクノソリューションズ(CTC,同29.5%)。5番手には東芝ソリューション(同28.8%)が,NECトータルインテグレーションサービス(旧NEC東芝情報システム,同28.6%)と富士通システムソリューションズ(Fsol,同28.3%)をわずかながら上回って食い込んだ。

 今回は東芝ソリューションがストレージ系と連携基盤系の上位5社に入ったほか,東芝情報システムと東芝情報機器もそれぞれ情報系とストレージ系で3位につけた。7分野の上位5社,合計35のポストの中で,東芝系SIerが4ポストを獲得したのに対し,富士通系は2ポスト,日立系とIBM系も3ポストしか得ていない。東芝系SIerは今回の調査では,NEC(4ポスト)と並んで,NTT系(8ポスト)に次ぐインフラ系の認知度の高さを示したことになる。

「一芸型」はネットワンに加え,情報共有系のISIDとNSD

 特定の分野で特に高い認知率を得ている“一芸特化型”のSIerは,インフラ系7分野ではネットワンシステムズ。ネットワーク系でトップの認知率57.4%を得たが,他の6分野の認知率は30%未満(インターネット系28.5%~運用・危機対策系9.3%)だ。

 情報系の認知率トップを50.0%で分け合った電通国際情報サービス(ISID)と日本システムディベロップメント(NSD)も,他のインフラ系6分野の認知率は30%未満である。ISID,NSDとも,この調査ではグループウエアや情報共有システムを指している「情報系」よりは,製造業や金融業の業種特化ソリューションに事業の主軸を置くSIer。だが,本調査で設定している「業務アプリケーション系」(11月27日付け記事参照)の分野に,製造業や金融業のような業種特化の選択肢がないためか,ISID,NSDとも今回の10月調査の業務アプリケーション系8分野の認知率は,最大でも約30%(ISIDの経営戦略系/SCM系/SFA系,NSDの会計系)しか獲得していない。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,システム・インテグレーター(SIer)の主要企業68社について,各SIerがITビジネス分野のどの領域を手がけていると思われているのか(認知度)を聞いた。初回2006年10月調査,2回目は2007年1月調査(日経マーケット・アクセス2007年3月号「記事A19」参照),3回目は7月調査,今回が4回目の調査である。
 各SIerについて,【業務アプリケーション系】8分野(経営戦略・意思決定支援系,会計系,人事・給与系,SCM系,SFA・営業系,CRM・顧客関連系,生産管理系,物流系)と,【インフラ系】7分野(セキュリティー系,グループウエア/情報共有系,WAN/LAN/電話系,インターネット系(情報発信/電子商取引/マーケティング),ストレージ系,アプリケーション/システム間連携基盤系,運用/危機対策/ビジネス・コンティニュイティ系)の合計15分野を提示。取引や商談経験の有無に関係なく,回答者が知る範囲で,各SIerがその分野のITビジネス(サービス)を手がけていると思うかを聞いた。15分野とも空欄とした無回答者は,当該SIerを“知らない”ないし“視野に入れていない”と解釈して,有効回答数から除外している。提示したSIer68社すべてが,この基準で有効回答数30以上を獲得した。
 今回の2007年10月調査では評価対象のSIerリストからリコーと富士ゼロックスを除外(ベンダー・リストに移行),三菱総合研究所(旧ダイヤモンドコンピューターサービスを含む)と,従来ベンダーに分類していたアルプス システム インテグレーション(ALSI)をSIerリストに追加した。NECソフト,NTTコムウェア,CSKシステムズについては,各地のグループ会社を含めて評価するよう求めた。評価対象企業のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。
 調査実施時期は2007年10月中旬,調査全体の有効回答は2173件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は877件。

図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【セキュリティー系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【情報系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【ネットワーク系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【インターネット系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【ストレージ系上位5社】   図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【アプリケーション(システム)間連携基盤系上位5社】
 
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率【運用・危機対策/ビジネス・コンティニュイティ系上位5社】  
図●システム・インテグレーターが手がけているインフラ系7分野の認知率(各分野の上位5社)
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