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日経マーケット・アクセスが，ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行っている月次アンケートでは，9月から12月までの4回にわたって，IT技術者の職種とスキル・レベルに見合う支払う妥当な対価，ユーザーから見て“値ごろ感がある”単価を調査する。その第１回として9月調査では，ITスキル標準（ITSS）が定義している職種のうち「コンサルタント」と「ITアーキテクト」について聞いたところ，最も高い人月単価でも“値ごろ”とされたのは「業務改革（Business Transformation）」コンサルタントのハイレベル（ITSSでのレベル5～7）で，平均約122万円だった。
この設問での「技術者の職種とスキル・レベル」の定義は，2006年10月末にIPA（情報処理推進機構）が発表した「ITスキル標準（ITSS）V2 2006」での「キャリアフレームワーク」（旧称スキルフレームワーク）の定義に沿って，「ハイレベル」（ITSSでのレベル5～7），「ミドルレベル」（同レベル3～4），「エントリレベル」（同レベル1～2）の三等級に分けて回答を求める。今回の2職種6専門分野についてITSSが定義しているのは，上級の「ハイレベル」と「ミドルレベル」だけで，「エントリレベル」は定義上存在しない。 本来，ITSSはIT技術者のサービスの単価や質の基準として使用することを意図した標準ではない。しかし，所属する組織や企業の特殊性に依存しない「IT技術者の市場価値」の基準として，現在の日本では最も信頼される尺度として，本調査ではITSSのフレームワークを基準に採用した。
調査対象とした6専門分野の中では，「情報技術（Information Technology）」のコンサルタントと「アプリケーションアーキテクチャー」，「インテグレーションアーキテクチャー」，「インフラストラクチャアーキテクチャー」の3分野のITアーキテクトに対する“値ごろ”な人月単価はほぼ横並びで，ハイレベルが月額100万円前後，ミドルレベルが月額80万円前後と評価された。「パッケージ適用」のコンサルタントはここからそれぞれ約10万円安い，というラインをユーザーは設定。ハイレベルとミドルレベルの単価の差は，「業務改革」のコンサルタントが30万円弱，残り5分野は約20万円の差と評価された。
回答の内訳を見ると，ユーザーが高めの単価を是認した「業務改革」コンサルタントのハイレベルは，「200万円以上」を選択した回答者の比率が15％強あるのに対して，他の5つの専門分野のコンサルタント/ITアーキテクトではハイレベルでも「200万円以上」を妥当とする回答は6％以下。6専門分野の中では低めに査定された「パッケージ適用」のコンサルタントのミドルレベルは，逆に最低評価の「月額40万円未満」を，回答者の4分の1近くが選択している。
今回の調査結果はあくまで“買い手”側のユーザーの“言い値”の平均を調べたもので，実勢価格に対してはかなり低く出ると予想された。しかし，2年前の2005年11月に「ITpro」で実施した「IT技術者の年収調査」では，「コンサルタント」職の平均年収は730万円，月額に換算すると約61万円という結果だった。今回の約72万円～約122万円という平均単価は，ユーザーの“言い値”としてはかなり実勢価格を配慮した値付けと言えよう。
次回，10月版アンケートでは「プロジェクトマネジメント」と「アプリケーションスペシャリスト」の2職種について調査した。11月上旬の本連載でその結果を報告する予定である。
■調査概要
日経マーケット・アクセスが，ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者に，各職種，スキル・レベルのIT技術者のサービスに支払う妥当な対価を「技術者のスキル・レベルに対して，ユーザーから見て“値ごろ感がある”単価」（最も近い価格帯を一択）という形で，選択式で回答を求めた。本文中の「平均人月単価」は、選択式回答の「月額40万円未満」を35万円，「40万円以上50万円未満」を45万円，「50万円以上60万円未満」を55万円，「60万円以上70万円未満」を65万円，「70万円以上80万円未満」を75万円，「80万円以上100万円未満」を90万円，「100万円以上125万円未満」を112.5万円，「125万円以上150万円未満」を137.5万円，「150万円以上200万円未満」を175万円，「200万円以上」を225万円に換算して平均した。
調査実施時期は2007年9月中旬～下旬，調査全体の有効回答は2073件，うち情報システム担当者の有効回答は933件。
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| 図●“値ごろ感がある”IT技術者の人月単価（その１：コンサルタント，ITアーキテクト） |
