表●ITプロフェッショナルの職種、年齢別の平均年収
表●ITプロフェッショナルの職種、年齢別の平均年収
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ITプロフェッショナルの半数が、転職を希望していることが、本誌のアンケート調査で明らかになった。そのうち15%は、すでに転職活動を始めている。転職希望理由の1位は、給与への不満だ。転職希望者の8割以上が、現在の年収に満足できないと訴えている。

 本誌は11月2日から15日まで、Webサイト「IT Pro」上で、システムの企画・開発や運用・保守に携わるITプロフェッショナルを対象に労働実態・意識調査を実施、2296人から有効回答を得た。調査結果からは、給与の水準に対する不満を訴えるITプロフェッショナルの姿が浮かび上がってきた。

 ITプロフェッショナルの不満が顕著に表れたのは、転職に対する意識だ。「目標とする仕事や処遇を得るために、現在、転職を考えているか」という問いに対して、「考えている。現在、転職活動中」、「考えているが、まだ転職活動はしていない」という答えの合計が、回答者の51.2%に達した。年齢が低いほど転職の希望は強く、20代では60.4 %、30代は54.5%、40代でも40.1%を占める。職種別ではSEの56.0%が最も高く、これにプログラマ(53.4%)、運用保守(50.1%)、プロジェクト・マネジャ(47.8%)、コンサルタント(44.1 %)が続いた。

 総務省が今年3月に公表した「労働力調査 詳細結果(平成16年平均)」によれば、転職を希望している就業者の割合は、全産業平均で9.7%に過ぎない。25~34歳で14.8%、35~45歳で9.6%、45~54歳で8.1%だ。この結果と比べると、ITプロフェッショナルの転職希望者の割合が、際立って高いことが分かる。

 転職を希望しているITプロフェッショナルに対して、目的(最大二つまでの複数回答)を聞いたところ、「給与水準を上げたい」という回答が最も多く47.6%あった。「より将来性のある組織で働きたい(33.3%)」、「仕事の内容を変えたい(24.9%)」がこれに続く。「現在の年収に満足しているか」の問いでは、「不満」、「やや不満」の回答の合計が84%を占めた。

 今回の調査では、ITプロフェッショナルの給与水準も聞いた。回答者全員の平均年収は596万円(平均年齢35.6歳)だ([拡大表示])。国税庁が公表している「民間給与実態統計調査(平成16度)」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は439万円である。決してITプロフェッショナルの給与水準が低いわけではない。それでも給与に対する不満が根強く残る背景には、過酷な労働実態がある。

 1カ月当たりの所定時間外労働(残業)時間を聞いたところ、平均で48.2時間だった。転職希望者は52.3時間と、非希望者より8.3時間多かった。厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査(平成16年度)」によれば、社員5人以上の企業に勤めるパートを除く一般労働者の所定時間外労働時間は、全産業平均で10.7時間だ。ITプロフェッショナルの残業時間の多さが目立つ。

 さらに、「実際の残業時間に対して支払われる賃金(残業代)の割合」を聞いたところ、残業時間40時間未満の回答者は60.4%、40時間以上の回答者では47.9%と、残業時間の半分は「サービス残業」を強いられていた。

 今回の調査では、目標とする仕事や処遇を得るために取り組んでいることも聞いた。詳細は、本誌12月26日号で報告する予定だ。