調査内容 2010年度の最重点IT投資分野
調査時期 2007年6月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 1661件(659件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,3年後の2010年度に回答者の企業が最近話題のIT16分野(下記「調査概要」を参照)の中から,最も重点投資すると見込まれる分野を聞いたところ,トップは「内部統制:IT全般統制」,次いで「内部統制:業務処理統制」。ともに回答者の約6割が,最重点投資分野のトップ3に入るとした。日本版SOX法(金融商品取引法)対策は予定通りならすでに峠を越えているはずだが,「内部統制」はすでにSOX法対策に留まらない,中長期的な企業戦略として位置づけられたと言える。

 これに次ぐのが「基幹業務パッケージ」(48.4%)と「CRM」(37.5%)。ソリューション系の分野がインフラや先端技術系の分野を抑えて上位を占めた。図示していないが,“重点投資分野の1番目”に選ばれた比率では,「業務処理統制」(28.7%)が「IT全般統制」(23.4%)を上回り,「基幹業務パッケージ」(20.7%)と「CRM」(8.0%)の間には大きな差が付いた。

 「ブレード・サーバー」「サーバー仮想化」「ストレージ仮想化」といったいわゆる“サーバー統合”関連分野,「シンクライアント」「企業内IP電話,無線IP電話」「SaaS(Software as a Service),ASPサービス」と言った“高速低コスト網活用”関連分野がこれに次ぐ中位グループだが,この中ではややSaaS/ASPへの評価が低い。

 昨日の記事で紹介した「2008年度のIT投資額の伸び率」でトップを占めた「NGN(Next Generation Network)」関連と「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」,「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」,「RFID(無線ICタグ)」は,この「2010年度の最重点投資分野」では最下位グループに名を連ねる結果となった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者に,以下のITキーワード16種を挙げて,今年度(2007年度),来年度(2008年度),3年後(2010年度)の投資意向を聞いた。
 「内部統制:業務処理統制」,「内部統制:IT全般統制」,「基幹業務パッケージ(ERPなど)」,「CRM(顧客情報管理)システム」,「RFID(無線ICタグ)」,「企業内blog,企業内SNS,企業内Wiki」,「企業内IP電話,無線IP電話」,「NGN(Next Generation Network)対応の通信機器:音声・動画系用途」,「NGN対応の通信機器:(音声・動画以外の)高速データ通信系用途」,「サーバー仮想化」,「ストレージ仮想化」,「ブレード・サーバー」,「シンクライアント」,「SaaS(Software as a Service),ASPサービス」,「SOA (サービス指向アーキテクチャ)」,「ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)第3版」の16種である。
 2010年度については,「3年後(2010年度)に御社において,IT投資の重点になっているであろう分野は,次のうちどれだと予想されますか」という形で,上記の16種に最重点分野,2番目,3番目の重点分野,3番目までには入らない分野,重点分野ではない分野,のいずれかに分類するよう求めた。
 調査実施時期は2007年6月中旬,調査全体の有効回答は1661件,うち情報システム担当者の有効回答は659件。

図●3年後(2010年度)のIT投資重点分野予想
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