日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,2007年度上半期(4月~9月期)の分野別のIT予算を聞いたところ,「平均の予算額(半期予算平均額INDEX)」(算出方法は下記注釈参照)が最も大きかったのは「新規システム開発」で約3800万円。次いで適用業務の「SCMシステム」が2500万円弱,「CRM・顧客関連システム」が2300万円強の順となった。以下,「既存システムの再構築」の2200万円強,適用業務の「物流システム」の2200万円弱,「会計システム」の2000万円弱が上位を占め,インフラ7分野では「ネットワーク系」や「ストレージ系」を300万円近く離して「アプリケーション(システム)間連携基盤系」の1600万円弱が最大だった(「その他の分野」を除く。以下同じ)。

 この結果を,2007年3月調査で聞いた2007年1月~3月四半期の予算と比較すると,4月~9月期の額が1月~3月四半期を上回ったのは「新規システム開発」(約1900万円差)と,「既存システムの再構築」(約200万円差)のみ。僅差だったのが「ソフトウエア購入」(1月~3月四半期より140万円弱少ない),「運用・保守開発」(同約180万円少ない)と「CRM・顧客関連システム」(同250万円弱少ない)。

 逆に1月~3月四半期の予算額と比較して大幅に減少したのは,インフラの「運用・危機対策系システム」(同約3200万円少ない),「インターネット系システム」(同約2100万円少ない),適用業務の「人事・給与システム」(同約2100万円少ない)。比率では「人事・給与」の4月~9月期予算が1月~3月四半期の予算の約5分の1,「運用・危機対策系」と「インターネット系」がともに約3分の1と,減少率が際立っている。年度末の1月~3月四半期にIT投資が集中するのは当然としても,適用業務とインフラ分野の上半期予算額がすべて1月~3月四半期より小さいというのは,やや需要の先行きに不安を感じさせる。

 「新規開発」は上半期予算額が1月~3月四半期の予算のほぼ2倍,「システム再構築」と「運用・保守開発」の部分の数値も1月~3月四半期予算なみである。このため「ユーザーのIT投資予算枠は引き続き堅調に伸びているが,適用業務などへの配分を期初の段階では固定化していないところが多い」と楽観したいところだ。

◆注
 調査実施時期は2007年4月中旬,調査全体の有効回答は1688件,うち情報システム担当者の有効回答は783件。
 本文中の「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」は,選択式回答の「本四半期はゼロ」を0,「100万円未満」を50万円,「100万円以上300万円未満」を200万円,「300万円以上1000万円未満」を650万円,「1000万円以上3000万円未満」を2000万円,「3000万円以上5000万円未満」(4000万円に換算),「5000万円以上1億円未満」(同7500万円に換算),「1億円以上3億円未満」(同2億円に換算),「3億円以上」(同4億円に換算)に換算して平均した。
 なお,過去の「四半期予算」調査では「回答者が予算執行・承認の権限を持つシステム」を対象に,予算額(金額帯)と前年同期比増減率の回答を求めた。今回の「半期予算」調査では,「回答者の担当・関与しているシステム」の範囲を対象に予算額と増減率の回答を求めている。ちなみに今回の調査では,担当・関与しているシステムの範囲を「全社システム」とする回答数が約500件,「部門/事業所/ワークグループのシステム」のみとする回答数が約280件だった。
 半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合も,それらの本半期分の総計額について回答を求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めないものとした。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。

図●2007年度上半期(2007年4月~9月)の分野別IT投資予算額(回答者が担当しているシステムの範囲)