日経マーケット・アクセスが今秋から開始した企業情報システム担当者への調査では,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いていく。2006年11月調査では,「Windows Vista」「IA-64」「シンクライアント」を取り上げた。

 いよいよ企業向けバージョンの出荷が始まった「Windows Vista」は,認知度と業務への影響度で,過去最高レベルだった「日本版SOX法」(9月調査,10月18日付け記事参照)に肩を並べた。認知度では「業務に通用する十分な知識がある」が9.9%(日本版SOX法は9.4%),「内容をある程度理解している」が57.1%(同66.7%)。業務への影響度では,「自分の業務と深い関わりがある」が47.3%(日本版SOX法は60.5%),「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」が46.4%(同35.4%)といったように,高い関心が示されている。

 「IA-64」と「シンクライアント」は,業務への影響度の回答が,10月調査の「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」,「BPM(ビジネス・プロセス管理)」と似た傾向を示した。この4つのキーワードは,「自分の業務と深い関わりがある」が約2割,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」が55%前後,「自分の業務には関係ない」が約2割と,奇妙なほどよく似た比率になった。

 認知度では「シンクライアント」の高さが目立ち,「業務に通用する知識がある」が「Windows Vista」や「日本版SOX法」をも上回る約12%をマークした。

 だが利用状況に目を移すと,「IA-64」と「シンクライアント」はともに「利用計画がない」が7割以上と高率。これまで「計画なし」の比率が最も大きかった「SOA」の約65%をあっさり上回った。スコア換算(算出方法は下記の注釈参照)すると,出荷後間もない「Windows Vista」と,基幹情報システムの将来のインフラと期待されて久しい「IA-64」と「シンクライアント」とが,ほとんど同スコアになっている。

◆注
 調査実施時期は11月上旬~中旬,調査全体の有効回答は2566件,うち情報システム担当者の有効回答は648件。なお,9月調査と今回11月調査の記事での図は,情報システム担当者の有効回答だけを対象にしているが,10月調査の記事での図には,「自社の情報システム業務を担当していない」とした回答者からの回答も含んでいる。詳細は10月調査の記事(11月21日付け)の本文を参照。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。前回調査ではそれぞれ4,3,2,1点に換算していた。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。

図1●最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2●最新キーワードの認知度

図3●最新キーワードの業務への影響

図4●最新キーワードの利用状況