先日実施された「Windowsありがとうキャンペーン」が販売開始後すぐに売り切れ状態になるなど,注目が高まっている次期クライアントOSの「Windows 7」。今月下旬にはコードの開発が完了する予定で,日本におけるパッケージ版の発売も米国と同じ10月22日と正式発表され,いよいよ登場が間近に迫ったといってよいだろう(関連記事)。もちろん,Windows担当の筆者も発売後の購入を考えている一人だ。だが,購入方法を具体的に考えると,いろいろと悩ましい点があることに気がついた。

 Windows 7を購入する際に,まず決めなければいけないのはエディションである。これには,「Ultimate」「Professional」「Home Premium」といった種類がある(関連記事)。これに関しては,「Home Basic」というエディションがなくなったり,基本的に上位のエディションになるほど多くの機能を装備するという整理をしたことで,Vistaよりもわかりやすくなっている。自分の使いたい機能があるものを選べばよいので,これは簡単に決められそうだ。

「通常版」「アップグレード版」「優待アップグレード版」の3種類がある

 難しいのは,そうしたエディションを,どういう形で入手するかという点である。これらの各エディションに対して,マイクロソフトでは「通常版」や「アップグレード版」といったパッケージを用意している。

 このうち,通常版というのがもっとも基本のパッケージで,対象とするパソコンを特に制約することなくインストールできるものの,値段は最も高い。これに対し,アップグレード版はWindows VistaおよびWindows XPを使っているユーザー向けのパッケージで,これらのOS環境をWindows 7にアップグレードするためのものである。対象とするのが,これらのOSを使っている環境向けという制約がある代わりに,価格は1万~1万5000円ほど安い設定になっている。

 さらに,発売前後の今の時期限定で「優待アップグレード版」というパッケージもある(関連記事)。これは,プレインストールPCやDSP(Delivery Service Partner)版といったOEM版のVista,あるいはパッケージ版のVistaを購入すると,格安で手に入れられるWindows 7のパッケージである。OEM版に関しては6月26日から来年の1月31日まで,パッケージ版は6月26日からWindows 7発売前日の10月21日までの間に購入すると,無償あるいは2000~3000円程度で発売後にマイクロソフトから送られてくる。

いくつもの経路があって複雑なアップグレードのステップ

 通常版,アップグレード版,優待アップグレード版のどれであっても,インストール後の環境自体には,まったく差がない。このため,少しでも安いほうがよいと考えるのが普通だろう。だが,これを比較するのがなかなか難しい。

 通常版が割高なのは事実だが,アップグレード版や優待アップグレード版は,それぞれ条件に違いがあるため,価格を比較するのがそもそも難しい。アップグレード版は,利用したいWindows 7のエディションに関係なく,VistaおよびXPのすべてのエディションを対象にアップグレードできる。これに対し,優待アップグレード版は,XPはそもそも対象とならないし,入手できるWindows 7のエディションもVistaで使っているのと同じエディションに制限されてしまう。

 つまり,Windows 7でUltimateエディションを使いたいと思っている場合,アップグレード版ならVistaのHome Basicエディションを使っているユーザーだけでなく,XPのHomeエディションを使っているユーザーでもよいことになる。だが,優待アップグレード版の場合は,VistaでUltimateエディションを使っているユーザーしか対象にならない。

 逆に,現在利用している環境から考えると,VistaのHome Premiumエディションを使っているユーザーの場合,発売後にアップグレード版のWindows 7 Ultimateエディションを購入する以外に,現時点で優待アップグレード版付きのVistaのUltimateステップアップグレード版を購入するという方法がある。

 もしXP Homeエディションのユーザーならば,発売後にWindows 7のUltimateアップグレード版を買う,発売前に優待アップグレード版付きのVista Ultimateアップグレード版を買う,いったんVistaのHome Premiumアップグレード版を入手してから優待アップグレード版付きのVistaのUltimateステップアップグレード版を購入する--など,さらに多様な方法がある。