筆者はあまり傘をささない。会社に入社したころ、社会人としては持ち物に気を使わなきゃと、無理して購入した高級傘を2日目にしてどこかに紛失した。それからというもの、さしてもビニール傘。多少の雨の場合は気にしなかった。

 しかし最近、雨が非常に気になるようになってきた。地肌に直接雨が当たるのを感じるし、顔まで水が垂れてくる。木々が地にしっかりと根を張って河川の洪水を防いでいるように、髪もまた顔が濡れるのを防いでくれていたことを身をもって知った。この週末、3カ月ぶりの美容室に行ったが、「トップのボリューム出すためにも部分パーマがお薦めですよ」と暗に薄毛を伝えられる。

 これは真剣にまずい。ささやかでも抵抗を始めなければならない。美容室でサランラップのようなものを髪にかぶせられ、珈琲とともに手渡されたのは日経トレンディの最新号。気分転換にページを開くと、そこには発毛剤「リアップ」で有名な大正製薬社長のインタビューが載っている。世の中では、これを俗に神のお告げと言う。

「リアップ」はれっきとした第一類医薬品

 「リアップ」を購入すべく自宅に戻り、早速インターネットで検索(厳密にはリアッププラス)。そうして出てきた店舗のページを見ると、ほとんどのページに「困ります、私たち。ネットで薬が買えないなんて」のバナーが張り付けてある。そう、この「リアップ」、現在は一部のEC(電子商取引)サイトで購入できるが、今年の6月に予定されている改正薬事法施行後は一切購入できなくなる見通しだ。

 改正薬事法ではリスクに応じて一般用医薬品を三つに分類し、誰が売っていいのか、販売体制を明確に定める。「リアップ」は三つの分類のうち、最もリスクが高い一般用医薬品が属する第一類医薬品。厚生労働省が公布した省令によってインターネットで販売してよい一般用医薬品は第三類医薬品のみと規定されているため、6月以降、筆者がリアップを手に入れるためには帽子をかぶってドラッグストアに行くことになる(詳細は「コンビニOK、ネットNGの怪! 薬販売にネット規制の網」参照)。