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 「IT業界のための『工事進行基準』完全ガイド 基礎と事例と18の特効薬」という書籍が完成した。ちょうど1カ月ほど前には、「工事進行基準適用まで,後190日」という原稿を書いたが、それでもまだこの言葉を理解していないSIerが少なくないようだ。

 早い企業では受託ソフト開発に対する工事進行基準の適用が2009年4月から始まる。ソフトの受託開発事業には、原則として工事進行基準が適用されるわけだ。

 これは既に決まっていることであり、日本で事業を展開する限り、避けることはできない。本当にSIerにとって、なんとかしなければならない問題である。

クロスメディアで情報を提供します

 ではどうするか。ソリューションプロバイダが主要読者である日経ソリューションビジネスは、2008年の最重要編集課題として「工事進行基準」関連の情報を掲げてきた。進行基準の適用まで後160日、ほぼ半年後に迫った10月を「進行基準告知の月」と位置付けることにした。

 要は、できる限りの範囲で工事進行基準に関する情報を集中して提供しようということだ。日経ソリューションビジネスだけでなく、ITproを含めたクロスメディアによる展開を念頭に置いている。

 中核にするのは、日経ソリューションビジネス本誌の「進行基準、今なすべきこと~適用まで半年!」と題した特集である。あと半年に適用が迫るなか、大手のSIerがどのように受託開発のプロジェクトに工事進行基準を反映させようとしているのかをまとめたものだ。

 この特集は10月30日号に掲載するので、お手元に届くのは来週末あるいは再来週になるかと思う。読者の皆様は今少しお待ち下さい。

 次はITproである。ご存じの読者もいらっしゃるだろうが、昨日から工事進行基準への対応を急げ!と題した短期集中連載の特集をITproで公開している。この特集では、SIerの工事進行基準に対する理解度や、適用を支援するツール類などを紹介していく。いずれも日経ソリューションビジネスで過去に掲載した記事であるが、現在でも、工事進行基準を巡る業界動向をご理解いただくのには有用だと思う。

 冒頭に掲げた、日経コンピュータ編集との共同編集による書籍「IT業界のための『工事進行基準』完全ガイド」も、「進行基準告知の月」の一環だと思っていただけるとありがたい。発行日は10月20日、つまり昨日である。

適用まで後半年の試行錯誤

 もちろん、工事進行基準が何なのかを理解しているSIerも多い。だが理解しているからといって、すべてが順調に進むわけではない。こちらも問題山積なのである。

 工事進行基準を適用するためには、社内体制の整備、要件定義の徹底、プロジェクトの進捗管理の精度向上、などさまざまな努力が必要だからだ。

 これらは一筋縄ではいかない。実際にSIerは試行錯誤を重ねている。

 何社ものSIerが、工事進行基準適用のためプロジェクトチームを立ち上げているが、思ったような成果を上げているところは多くない。経理部門任せにして現場の理解が進まない企業もあれば、現場の意向を反映しようとしすぎて、何をすべきなのかを決めることができない企業もある。

 工事進行基準では、開発途上のプロジェクトについて、進捗度に応じて収益を計上する必要が出てくる。プロジェクトが終了した後で、売上高や利益を一括して計上すればよい工事完成基準とは違い、四半期ごとに進捗度に応じた売上高を計上する必要がある。

 工事進行基準を適用しなければならない企業の場合、これらの数字を正確に計上しようとすれば、プロジェクトの進捗度を正確に把握しなければならないのである。この正確なプロジェクトの進捗の把握がくせものなのだ。

 受託ソフトが完成するまでには、ソフトの設計や製造、テストなどのさまざまな工程が存在するが、これを正確に理解することは至難の業なのである。

 プロジェクトマネジメントの観点からこの問題に取り組んでいる企業も多いが、なかなか思ったような成果を出せずにいるところもある。プロジェクトの進捗度を正確に計るために、会計システムやプロジェクトマネジメントシステムの機能強化や再構築を進めている企業もある。数億円をかけている例も存在する。

 これだけではない。プロジェクトマネジメントの観点で進めてきた進捗度の評価が、そのまま工事進行基準の適用で使えるかどうかは未知数なのだ。実際に長年、プロジェクトマネジメントを徹底してきた大手SIerですら、工事進行基準を適用するために、プロジェクトマネジメントの評価手法を見直した例がある。

とにかく皆さんの疑問が知りたい

 まだまだ工事進行基準の適用を巡っては、多くの疑問と混乱が存在しているということだ。そんな読者の皆さんの疑問にどう答えるべきなのか。

 これは雑誌を作る人間にとって最大の問題である。いろいろ考えた結果、以下の設問を設けることにした(記事下参照)。10月24日(金曜日)までにご回答いただければ幸いである。

 皆さんからいただいた質問は、日経ソリューションビジネスの編集方針に必ず生かします。いただいた質問から分かったことをITpro上で公開することも検討している。

 また日経ソリューションビジネスは、「IT業界のための工事進行基準フォーラム」と題したセミナーを11月5日に開催する。このセミナーには2時間のQ&A枠がある。今回いただいた質問については、この枠で紹介することも考えている。先行して工事進行基準を適用している企業の体験談を含め、セミナーの内容は充実したものになったと自負している。よろしければご参加下さい。

 工事進行基準の適用は、SIerにとっての一大事。対処するためには良質の情報が不可欠だとも感じる。雑誌の枠を超えた情報を提供し、読者の皆さんのお役に立てれば幸いである。

Q1.工事進行基準の適用に関連して、疑問に感じている点についてご自由にお書き下さい

Q2.工事進行基準はあなたの会社のビジネスにどのような影響があると思いますか。ご自由 にお書き下さい。

Q3.あなたの勤務先をお選びください(ひとつだけ)

Q4.あなたの職種を教えてください(ひとつだけ)