携帯電話で写真を撮り,それを使ってその場でネット検索をする---。エブリクス・ジャパンの画像検索サービス「写リンク」を見て,もしかしたらそんな時代が来るかもしれないと感じた。
写リンクとは,携帯電話のカメラ機能を使って物体を撮影し,その写真をそのままサーバーに送って検索するというサービス。米国のベンチャー企業,Everyx Technologiesの設立者でもあるRonald Cohen会長が,以前,アメリカ国立航空宇宙局(NASA)に勤務していたときに火星探査機のプロジェクトに従事し,その際に学んだ画像認識技術を使って実現しているという。
米Everyx Technologiesの日本法人であるエブリクス・ジャパンは,2008年9月2日に記者会見を実施し,今後,この写リンクのサービスを日本国内において積極的に展開していくことを発表した(関連記事)。これまでは,NTTドコモ向けの検索ソフトしか提供していなかったが,8月からKDDI(au)とソフトバンクモバイル向けの検索ソフトの提供を開始。また今後は,iPhone用の検索ソフトもリリースする予定だという。
逆さまの写真でも,映画でも検索は可能
写リンクは以下のようにして利用する。
ユーザーはまず,写リンク専用の検索ソフトをダウンロードして携帯電話にインストールしておく。その検索ソフトを立ち上げると,携帯電話のカメラ機能が起動する。カメラを使って写真を撮影し,そのまま画像をEveryx Technologiesのサーバーに送信。そうすると,その画像にマッチしたURLが送られてくるので,それをクリックしてサイトにアクセスする(写真1)。
検索に利用できる写真は,さまざまな種類のものがある。まずは雑誌や新聞,ポスターなどの印刷物の写真。それから,缶飲料などの立体的な商品の写真。このほか,東京タワーなどランドマーク的な建築物や,映画など動画のワンシーンでも検索が可能だという。「ピンボケ写真やブレた写真,コントラストの低い写真などでは検索が失敗することがあるが,ロゴなどが斜めになっていたり逆さまになっていたりしても検索は可能だ」(エブリクス・ジャパン代表取締役社長の河合秀義氏,写真2,写真3)。


こうしたことが可能なのは,例えば商品などの場合は正面からの写真だけではなく,さまざまな角度からの写真をデータベースに保存しておき,これらの写真とのマッチングをかけるため。「商品は360度少しずつ回転させて写真を撮影する」(河合社長)。
さらに,動画の場合はもっとデータが膨大だ。「1秒間に7コマぐらいの画像を入れておく」(河合社長)。このため,映画などの場合は有名なシーンだけでなく,出演者の何気ない会話のシーンなどでも検索することができるのだという(写真4)。